「お母さん、お嬢さんにお手伝いをさせていますか?」
これは、私が社会人になるとき、お世話になったある方が母に言った言葉です。
これを聞いて、内心「ヤバい……」と思った記憶があります。
基本、何事も不器用で、昨今のIT、DX化でやっと人並みにできるようになった私。
学生時代は、何をやっても親から褒められた記憶がなく、周囲の顔色を見ながら手伝いをしたものです。
よって、大学生になる頃には、極力、親の手伝いをしないで済む方法ばかり考えていました。
でも、人の役に立ちたいという、労働の基本は、まずは家庭での手伝いなのです。
ひとり仕事を通して、子供時代の「お手伝い」がいかに大切だったか、回顧してみました。
お手伝いは労働なのか
子供の頃、楽しく遊んでいるそばから、
「和子、掃除機をかけといてちょうだい」と、母から頼まれたりします。
たいてい、その時は不機嫌になって、頼まれた仕事を雑にこなして早く片付けてしまいます。
でも、仕事のクオリティーが低いと、チェックがはいり、やり直しさせられます。
今思うと、結構厳しい親だったと思います。
また、台所仕事も、必ずと言っていいほど、手伝わされます。
今思えば、それで料理を覚えていったわけですから、決して悪いことではないのですが、当時は親にこき使われていたと思っていたものです。
歳離れた姉がいました。彼女は要領よく楽な仕事を先取りし、あとあと面倒なことを私に回ってくるようにしていたものです。
高校生の姉が、小学校低学年の妹に、大人気なく振る舞っていたわけです。
そんな中で育ったわけですから、「お手伝い」ときくと、いい気がしません。
これを、社会に出て働くことに置き換えると、非常にわかりやすくなります。
私の親は、一体何を失敗していたのかというと、
- 子どもの時間スケジュールを平気に壊す。
- 「おかげで、こんなにうれしい」というフィードバックがない。
- 姉妹の力関係に、首を突っ込まなかった。
- 仕事の見える化をしてこなかった。
- 自身が受けてきた戦前のやり方を押し通した。
などなど。
会社の上司がやったら、「そりゃ、マズイでしょ」と言わんばかりの失敗を積み重ねています。
これでは、子どもには、労働の基礎となるお手伝いをさせたとは言えません。
お手伝いは、下手したら子どもの心と時間を搾取するだけのものになってしまいます。
もう、罰と変わらないです。
1番褒められたお手伝い
そんな中、褒められた記憶があるお手伝いをしたことがあります。
それは、味噌汁を作ったことです。
出汁の取り方、味噌の量、具材のチョイス、すべてにおいて親が作るものを超えたらしく、食卓で、「これはすごい」と褒められたことがあります。
実際は、その後は「和子が作った方が上手だから、作って」と理由つけて、親は味噌汁づくりを放棄しました。
これでは、子どもから見たら、お手伝いで褒められたということから、おだててこき使われたという結果になってしまいます。
唯一褒められたことが、そんな形で後味が悪いものになって言ってしまいましたが、本来、お手伝いとは、自分の行動で、誰かが助かって喜ばれるという体験こそ言うのではと思うのです。
自分がやっていて、負荷がかからないこと。
やっていて楽しいこと。
やったことで、誰かが笑顔になること。
この3つがそろってこそ、お手伝いではないでしょうか。
であれば、お手伝いができる子は、仕事ができるという公式が成り立つのです。
小さいときに、自ら動いて働きかけたことが、周囲で喜ばれる体験こそ、自分というリソースの活かし方を覚えていくのです。
子どもにお手伝いをさせるとき、相手はAIではないのですから、思い立ったらいきなり振らず、一緒にやって共通体験を親子で積み重ねていくくらいが、ちょうどいいのではないでしょうか。
お手伝いでの成功体験がひとり仕事につながる
さて、冒頭のお世話になった方のセリフ。
「お嬢さんにお手伝いをさせていますか」
その方は、とある団体の管理職を長く勤務されていました。
多くの部下を抱え、経営者の役割も果たしてきた方です。
仕事という場所で、評価できる人とそうではない人の違いが、子供時代のお手伝い経験だということなのでしょう。
私は、組織の中だけの話しではないと、今になって思っています。
喜ばれるお手伝いをした経験を持つ人は、人が喜ぶこと、自分のできることを提供する経験を、子供時代に持っている人こそ、ひとり仕事に向いているのです。
組織での働きは、ある意味、言われたことをこなす仕事というものもあります。
働くことに慣れていないときは、そのような働き方もあっていいと思うのです。
でも、それなりに経験と知恵と技術を持つような年齢になれば、それを発揮して人のために働くことができるようになります。
これこそ、子ども時代の真っ当なお手伝い経験と被るわけです。
これからの時代、子どもには自分の力で生き抜く術を身に着けていってほしいものです。
それこそ、「お手伝い」が、その役割を担っていくのではないかと。
そう思い、娘にお手伝いを依頼したら、「はーい」と元気な返事のみで済まされてしまいました。
子どもにお手伝いをさせるというミッションも、これはこれで大人の社会勉強ですね。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
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今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
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