最近、ネット上で「DX化」というワードが見当たらなくなりました。
今や、「AI」「AIネイティブ」というワードが主流ですね。
AIによる自動仕訳ツールを自作、自作アプリ、AIによるPowerPointの生成などなど。
もう人間が必死に身に着けてきた技量をはるかに超える精度で、成果物を生み出せるようになってきました。
さて、ここで、気になることがあります。
そういえば、「DX化」って再三言われてきたけど、今、どうなった?
「あの人は今」じゃないけど、DX化って結局なんだったのか。
振り返ってみたくなりました。
Googleトレンドから「DX化」を見てみる
Googleトレンドは、巷で話題になっているワードをチェックするのに、とても有効です。
「DX化」という言葉で、早速調べてみました。
ネット上の流行語としては下火になっていると感じます。

2026年7月22日から過去5年。ピークを100にした推移
このGoogleトレンド過去5年から見ると、AIが本格的に使われる直前まで、世間の話題は「DX化」だったことがわかります。
2024年4月が一番のピーク。
でもこのときのAIの話題は、
- 総務省と経済産業省が、AIのリスク対策や生成AI特有の課題をまとめた「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を策定・公表
- 国産AI開発とインフラへの巨額投資
など、AIへの舵を大きく切った転換期でもありました。
このことから、DX化は廃れたというより、AIに興味関心が集まったと言ってもいいのではないか。
私はそう思うのです。
では、本当に「DX化」は忘れられてしまったのか。
どうやら、そうでもないこともわかりました。
日本企業のDX取組割合は77.8%。とくに、大企業は96.1%まで進んでいます(IPA独立行政法人 情報処理推進機構「DX動向2025」をもとにした解説記事より)。
特に100人以下の中小企業では、46.8%にとどまっています。
でも、成果はどうか、DX化プロジェクトのお尻がどうなのか。
同じく「DX動向2025」から見るに、
- 日本企業 57.8%
- 米国企業 87.0%
- ドイツ企業 81.7%
つまり、「DX化」という言葉は下火になったけど、DXの中身はまだ終わっていないことがわかりました。
むしろ今は、「DXやっています」と言う段階から、
「実際に何が変わったのか」
「何の時間が減ったのか」
「どんな価値が生まれたのか」
を問われる段階に入ったのだと思います。
DX化できないと、どうなるか
新しい価値が生まれると、一時期ワードがトレンド入りします。
でも、下火になったということは、新しい価値から当たり前の価値に成長したとも言えるのではないか。
実際に、大企業に勤める友人の話を聞くと、DX化はすでにルーティン化されていて、今はAIを使って文章生成をすることに夢中になっていると語っていました。
DX化はもうやるのが当たり前。AIとどう付き合うか。
今は、そんなフェーズにきていると言えます。
でも、気になるのが、本当にDXは広く定着できているのだろうか、です。
私の感覚だと、どんどん差が広まって、まだDX化が成功していないところが置いてきぼりになりつつあります。
先に進んでいるところは、AI全社導入して、どんどん仕事の効率性を上げていっています。
また、全社で共有するナレッジが多いことから、一人ひとりの成果効率もあがり、一人あたりの仕事精度がどんどん向上していきます。
メールの返信一つだけみても、どう書いたらいいのか、悶々と悩む新人はいなくなります。
会社にあるデータを元に、サクッとAIで文章生成し、スルッとメールを送る今、働き手の時間配分が大きく変わってきます。
でも、まだDX化も進んでいない現場は、従来の働き方が続いています。時間配分も、今まで通り。下手したら、議事録も新人が書いて、まとめるにも1日仕事だったりします。
これだけでも単純に競争力が違います。
かたやプロペラ飛行機なのに、もう片方は最強エンジンを搭載したジェット飛行機のようなもの。飛行時間も雲泥の差。
7時間かかった飛行が、3時間に短縮する、乗り物の進歩と同じようなことが起こっているのです。
DX化は、デジタルトランスフォーメーションを導入するという意味です。
つまり、情報のやりとり、保存をデジタルにするしくみを取り入れるということ。
これができて、初めてAI利用が仕事効率化につながります。
デジタル化できないうちのAI利用は、ただ質問を投げて答えをもらうという、AI利用初期段階のままになる可能性が高いのです。
いっそのこと、AI導入してからDX化を目指していい
もう一度考えてみます。なぜ、DX化が進まないのか。
多くの悩みの中、顕著に多いのが、人間がアナログからデジタル化にすることが難しいという点です。
アナログ、紙で慣れていた人に、デジタルでよろしくといっても、ツールを使うというだけで高い壁になっています。
でも、AIが進んできた今、このアナログからデジタル化をAIに任せてしまえば、逆にDX化も促進するという理屈もあるわけです。
AI導入によって、DX化を促進させる。
ならば、適切な動線で組んだAI利用を提案できれば、DX化の入口は、以前よりもずっと入りやすくなります。
たとえば、紙の議事録をAIに読み取らせて、要点を整理する。
手書きメモをスマホで撮影して、文字起こしする。
Excelに散らばった情報を、AIに分類させる。
メールやチャットのやりとりから、次にやることを抽出する。
これらは、いきなり大きなシステムを入れるDXではありません。
でも、確実に「情報をデジタルで扱う」第一歩です。
今までのDX化は、人間ががんばってデジタルに合わせにいくものでした。
紙をやめましょう。クラウドに保存しましょう。チャットで連絡しましょう。データベースに入力しましょう。
もちろん、それは必要です。でも、現場によっては、その一歩目がとても重い。
だからこそ、これからは逆の発想もありだと思うのです。
人間が無理やりデジタルに寄せるのではなく、AIに間に入ってもらう。
アナログな情報を、AIにいったん受け止めてもらう。
そこから、検索できる形、共有できる形、再利用できる形に整えていく。
結局、DX化ってどうなったのか。
私の答えは、こうです。
DX化は、流行語としては下火になりました。
でも、仕事の土台としては、むしろ重要度が増しています。
AIを本当に仕事で使うためには、情報がデジタルで扱える状態になっていることが必要です。
紙の中に閉じ込められた情報。誰かの頭の中だけにある情報。担当者のパソコンの奥に眠っているファイル。
こういう状態のままでは、AIは力を発揮しにくい。
DX化は、情報を見えるようにし、探せるようにし、次の人が使えるようにする作業です。
そこまでできて、初めてAIは「便利なおもちゃ」から「仕事の相棒」になります。
中小企業や小さな組織こそ、今からでも十分に間に合います。
毎月同じ転記をなくす。
請求書や領収書を探す時間を減らす。
議事録作成を半日から30分にする。
「あの人に聞かないとわからない」を減らす。
こういう小さなことの積み重ねが、現場を軽くします。
DX化の本当の目的は、ツールを入れることではありません。
人間の時間と気力を、取り戻すことです。
言葉としてのDX化は、少し古くなった。
でも、現場を軽くするDX化は、まだまだこれから。
AIの時代になった今こそ、「デジタル化できていないところ」を責めるのではなく、AIの力も借りながら、仕事の流れを少しずつ整えていく。
その積み重ねが、これからの小さな会社や現場を支える力になるのだと思います。
=編集後記=
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