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Notion愛好者に捧ぐ 会計ソフトのデータ構造解説

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会計ソフトで言われている会計データとは、私達が思うデータとは全くの別物です。

会計データは、50年前の鉄道切符のようなものなのです。

私はやっぱり、簿記人でした。freeeからマネーフォワードに乗り換え。

目次

複式簿記と、パソコンでの「データ」という言葉の違い

今の時代、ひとりで独立して仕事がやりやすくなってきました。

そんな私も、ひとりビジネスとして仕事をしています。

5年前だったら、むりだったかもしれません。

今は、AIが使えて、NotionやArcといった高機能ブラウザを利用できることで、かつてより仕事効率が、10倍は上がっているのではないかと思うのです。

さて、私の話はおいておくとして、つまり、何をお伝えしたかったのかというと、

個人事業主、あるいはひとり社長として会社を興す人が、増えているように感じています。

会社法の改正で、1円から資本金を設定できることなど、気軽に小さな規模で、仕事を興す人が多くなりました。

それによって、経理から確定申告まで、簿記を知らなくてもできてしまうクラウド会計ソフトも充実し、専門家に頼らなくても税金計算までできるようになっています。

なんて、いい時代だ!!

ところが、この会計のしくみ。紀元前から取引の記録が残されており、複式簿記に発展したのは、約600年前のヴェニスの商人によると言われています。

データベースという考えがない時代に作られた、ファイナンス界のシーラカンスとも言えるでしょう。

そもそも、そんないにしえのしくみと、現代のデータ(0と1の組み合わせ)の考え方は、全く持って違うのです。

会計ソフトは一般的に、UIが良くないとされています。

その理由も、複式簿記を集計するために作られているので、パソコンのデータに慣れている今の人からみたら、全くもって使いづらいわけです。

「データベースが多い」の真意とは

さて、私ごとですが、「Notion×経理」として、経理業務におけるNotion活用の発信をしてます。

つまり、会計データの構造を、Notionの機能を使って、解説できるのでは?と思いつたのです。

会計の専門家からみたら、「なんじゃ?」ですが、Notionを愛用している方だったら、同じ言語で、お伝えできるかもしれません。

ひとつの実験として、簿記と今どきのデータのLinkして、理解できないポイントを炙りだしてみます。

会計ソフトのUIからNotion用語に当てはめてみる

会計ソフトは、数多くの帳票(数字の集計や羅列)を出力します。

これは、簿記の「帳簿組織」で定められているものです。

この帳簿組織を、Notionのデータベース用語に無理やり置き換えてみました。

実は、これらは、ビューの展開にすぎないのです。

厳密ではないが、だいたいこんなイメージでビュー表示されていると、思っていただければ。

実際に、Notionのデータベースで表現してみます。

途中までは、なんとかできます。

仕訳帳

取引の記録をすべて表示したものです。

Notionで言えば、テーブルビューでプロパティをすべて表示した状態です。

現預金出納帳

今回のケースでは、現金勘定を使っていません。

銀行の入出金を表示した預金出納帳のみとなります。

現実には、出納帳はあまり使用しません。

貸借科目は、銀行だけ表示するようフィルターをかけます。

実は、この時点で複式簿記であるゆえの無理が生じています。

Notionのデータベースでは、単式簿記(お金が入った・出た)で集計していますが、複式簿記の場合、図のように、「未払金」は損益科目の場所に表示することになります。

もうすでに、「なぜ」と頭の中に疑問符が出てきているかと。

総勘定元帳

これは、科目毎にフィルタリングして、一科目ずつテーブル表示したものになります。

Notionだと、無理が生じています。細切れにソート、フィルタリングします。

 

勘定科目「銀行」

勘定科目「未払金」

Notionのデータベースでは、2つに分かれてしまいます。

まずは、プロパティ貸借科目で集計します。

実は、ここで無理が生じています。未払金がマイナスになっていますが、実はここでは、未払金が増加しています。複式簿記では、12,000円です。

そして、次はプロパティ損益科目でフィルタリングします。

こちらでは、カードの引き落としによって、未払金12,000円が減少します。

残高は、12,000円増加、12,000円減少で、ゼロです。

勘定科目「事業主借」

Notionでは、損益科目に合わせて−15,000円になっていますが、事業主借が増えて、15,000円が残高になります。

 

勘定科目「売上」

勘定科目「接待交際費」

勘定科目「消耗品費」

勘定科目「新聞図書費」

残高試算表

これは、すべての科目の残高を一覧にしたものです。

これも、Notionではひとつのビューにまとまりません。

損益科目、貸借科目のそれぞれのグループでボードビュー表示します。

未払金が、別々に分かれてしまっていますが、複式簿記では、集約することができます。

もう、これ以上、Notionでは表現するには、プロジェクト管理機能のデータベースでないと難しいので、ここまでとします。

会計データは、一行に2つの情報を持たせています。

いずれにせよ、会計データは、単一のものではなく、どちらかというと、2者(自分側と相手側)を結ぶロープのようなものになります。

つまり、2つのデータベースをリレーションで連携したものであるということなのです。

では、この意味をNotionで表現してみます。

1つ目のデータベースは、科目一覧です。

勘定科目一覧

もう一つのデータベースは、取引データになります。

そして、2つのリレーション(借方・貸方)を組みます。

一つのデータにリレーションが2つ絡むので、これは、一般的なデータの考え方にはありません。

つまり、1つ目のリレーションは、自分視点(貸借科目)になります。

2つ目のリレーションは、取引相手の視点(損益科目)なのです。

実は、貸借科目は、自分の状態を示しています。

そして、損益科目は、相手の状態を示しているのです。

あれ?損益が自分視点では?と思われるかもしれません。ここが、簿記で一番勘違いされるところなのです。

相手視点の科目(損益科目)は、次のような意味になります。

  • 売上(収入) 相手が自分に払った金額
  • 経費(支出) 相手が自分から受け取った金額

そして、自分視点の科目(貸借科目)は、自分の財布事情を図にしたものなのです。

手元にあるお金には、

  1. 稼いでGetしたお金
  2. 他人から借りて増やしたお金

の2種類になります。

図にすると次のとおりです。

この図を、数字に置き換えることで、より懐事情の規模感を明確にしています。

今回のNotionのデータベースでは、

手元のお金(資産)ー他人に払うお金(負債)=自分のお金(純資産・資本)の純資産が集計できません。

今回の例だと、資産88,000円ー負債15,000=資本73,000円となります。

詳しくは、こちらのKindle本で、簡単にまとめております。

 

では、Notionでリレーション2つかませたデータベースの全容をみてみましょう。

これが、仕訳帳に該当します。

仕訳帳

科目一覧が自動的に残高試算表になります。

科目一覧が残高試算表に

ただし、データベースでは、売上金額のプラスマイナスが逆になってしまいます。

あと、残高試算表の足し引きをしても、差額が残るようになります。

そこを、プラスマイナスゼロにすることで、資産・負債・資本の金額が、試算表の中で数字として出てきます。

この状態を、借方・貸方のバランスが一致、つまりバランスシートになります。

これが、簿記システムであり、バランスが崩れていれば、仕訳のどこかが間違えていることになります。

試算表のバランスで、データのバグアラートが自動に点灯するこの仕組み。

600年前に発明されて、未だに運用されているのです。

 

だいぶ、難しくなってしまいました。

このロジックを、鉄道の交通系ICカードと硬券(昔の鉄道の切符)を例にしてみます。

交通系ICカードは、自動改札に一方通行でカード情報を与えています。

逆に、硬券は、一枚に複数の情報を盛り込んでいます。

同じ一枚のカードですが、今は単一情報ですが、昔は複合情報を持たせています。

会計ソフトの中では、このように一行のデータに複合的に情報が載せられており、データベースのビューが複数展開されているのです。

一般的には、会計ソフトは、この複合情報を外から見えるように作られています。

これが、簿記に馴染みない人にとって、不可解な挙動に見えるのだと思うのです。

また、単一情報のようにインターフェイスが作られているソフトでも、中では複合的に情報が錯綜して、集計されています。

この場合、仕訳のバランスが見えないため、入力または操作する人が、データエラーに気が付かずにいるリスクをはらんでいます。

これが、帳簿が合わない原因になって、のちに専門家にきれいに直してもらわないといけなくなるケースになっているのです。

このあたりのデータの持ち方の違いを、どう乗り越えるのか。

AIが活躍できるようになれば、人にやさしい会計ソフトが出来上がるのかもしれません。

 

最後に。

 

「Notion×経理」を発信している私が、Notionで青色申告(複式簿記)の経理をしてはいけないと言っている所以も、ご理解いただけたかと思います。

今どきのデータの考え方だと、仕訳の間違いを見つける方法がありません。

取引データは、Excel、スプレットシート、そしてNotionで蓄積させるには、問題ありませんが、集計については、簿記の仕組みをつかっている会計ソフトにインポートして、任せた方がいいです。

税務となってくると、消費税の計算、インボイスかどうか、など、税法にのっとった計算を確実にしてくれる会計ソフトに任せるのが、間違いありません。

この、簿記のロジックがわかると、決算書の読み方がわかるようになります。

損益計算書は、その瞬間のみのりしかわかりませんが、貸借対照表は、自分の姿を写す鏡です。

痩せすぎていないか。太りすぎていないか。皮下脂肪?内臓脂肪?

自分の資産の健康状態を知ることになるので、ぜひ、そのような視点でチェックしてみてください。

=編集後記=

【昨日のできごと】

午前中にオンラインでの業務。
午後はオフ。夏のドラマチェックをします。
なんだかんだ行って、朝ドラと大河ドラマは秀逸です。

かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。

50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。

 

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この記事を書いた人

個人事業主・中小企業教務効率コンサルタント。Notionアンバサダー。「一緒に未来を見る伴走者」として小さな会社や個人事業主の方をフォロー|職種を超えて参加できるバックオフィス構築|オールインワンアプリ「Notion」を使った経理ノウハウなどのオンラインセミナーを開催|ほぼ毎日更新ブログ「経理戦略会議」管理人。メルマガ50代からのひとり仕事を毎日配信。

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