「ちゃんと全部やろうとしてはだめ。大事なところだけ覚えて」
なかなか細かい業務を覚えきれない後輩に、私が言ったセリフです。
正しくマニュアル通りにやっても、必ず漏れが出てしまうバックオフィス業務。
人のタイプによって、マニュアルは全く違うものになるのに、一律同じ方法で覚えるよう指導されます。
もし、3回やっても改善しないなら、自分独自のマニュアルを作ってしまいましょう。
小学3年生の少女はクラス女子で忘れ物トップだった
実は、私は小学生の頃、クラスで「忘れ物女王」と言われていました。
とある小学3年生のときの授業参観の日です。
私の母がふと、教室後方にある掲示物を見ていたら、とあるグラフが貼ってあったそうです。
クラスの子どもたちの名前がズラッと書かれており、色丸シールでグラフになっていました。
男子の部では◯君。女子の部では私。この二人がツートップを飾っていたそうです。
たまたまそれをみていた◯君のお母さまと私の母が隣り合わせで、
「あら〜。うちのコったらぁ。1番だわ〜(ハート)」と盛り上がったところ、
よく見たら、「忘れ物グラフ」という表題だったそうで、それに気づいた瞬間、クラスの母たちから失笑が生まれたとか……。
その日から、ことあるごとに、私は母から嫌味を言われるようになりました。
「かずこのせいで、私はものすごく恥かいた!!」
「かずこは忘れものがおおいんだから、前の日の準備はちゃんとやりなさい!!」
おかげで、自尊心がそだつはずもありませんでした。
でも、当時から効率化においていは知恵が働く私です。
忘れた時用のリスクヘッジだけはしっかりと準備をするようになりました。
- 他クラスで頼れる人を数人キープしておく
- 中休みであれば、こっそり学校を抜け出して自宅に戻って持ってくる(登校所要時間5分)
- 授業が始まる前に、先生に相談してしまう
- 家用と学校用の2つ、それぞれ常備しておく
- どうしてもリカバリーきかないときは、先生によっては保健室に逃げるときも……
最後の手段は、本当の切り札でしたから、そうそう連発で使えません。
できるだけ、対応できるよう家と学校に両方準備しておくようにしていました。
よく忘れたのは、体操服と書道道具です。
書道道具は、絶対に家に持ち帰らないようにします。
体操服は……。ここは母親に頼んで、複数枚、人より多く用意してもらいました。
今思えば、よく対処してきたなぁと思います。子どもながら。
最初から、忘れなきゃいいじゃんと言われそうです。
はい、たしかに。
でも、なぜかカバンの中に入っていないことが多かったのです。
自分でも理由がよくわからず、本当に苦労していました。
自分の特性で1番苦労した仕事
その後、おとなになり、経理部門で仕事をするようになって、簿記を知るようになりました。
忘れ物女王だった私が、簿記のしくみで、間違いをきれいに見つけていく様を体験したときは、本当に目からウロコでした。
こんな合理的なツールを使える会計業界なら、飛び込んでいいかもしれないと思い、転職したのが運の尽きです。
まさに、税務の世界では、忘れ物女王の私には、不慣れなことが多すぎて、よく怒られていたものです。
1番苦労したのが、流用して使い続けてきたExcel表への入力と、申告書作成でした。
決められたところに、決められた数字を入力するのですが、データがどう流れていって計算されているのか理解できないと、本当に理由がわからず、覚えるのに一苦労でした。
このとき、よく頂いたアドバイスが「落ち着いて」です。
でも、私は落ち着けば落ち着くほど、逆効果になり、余計に失敗が増えていったのを覚えています。
どうやって、それを乗り越えてきたか
こんな私がどうやって乗り越えてきたか。
フィジカル面と、物の考え方のクセから攻略していきました。
フィジカル面を整える
落ち着かない人に、特性の一つとして片付けられる傾向がありますが、一概にそれだけが原因というわけではありません。
私の場合、視力でした。
普通の視力検査ではわからなかった「斜位」がわかり、それを解消するためのメガネレンズにしてから、一切間違えることがなくなりました。
もし、事務仕事に苦手意識がある場合、詳しい検査を受けてみると原因がわかるかもしれません。
それから、私は3つのメガネをつくりました。
電車での移動用、仕事・読書用、車運転用です。
それになってから、判断を間違えることがほぼなくなってきています。
ものを考えるときのクセを知る
よく陸上の3段飛びを例にして説明しています。
走り幅跳びではなく、3段飛びのイメージです。
すべて網羅しようとすると、めんどくさいが出てしまって迷い始めてしまいます。
逆に、ポイントを3つくらいに絞って、あとはそこにめがけて力を出せば、ほぼ間違いないというところまで持っていきます。
これは、ピアノを弾く時、大きく音が飛ぶときの指運びに似ています。
幼少期からピアノを弾いていたので、暗譜して弾きこなすまでの過程が、その後のものを覚える方法にも応用してきました。
片手ずつ練習、ゆっくり両手で合わせる、そこから全身で覚えていく、指運びに感情を乗せる。
この4つの過程で、初めての仕事を覚えてきました。
どのような走り方なら失敗しないかを知る
ピアノは、最終的に指が鍵盤を飛ぶような動きになります。
この方法で覚えると、身体に染み込ませやすいとわかってから、仕事や作業でも、流れるような動きになるように、段取りを丁寧に組み立てるようになりました。
思い返せば、忘れ物女王だった頃、翌日の授業で使われるそのツールの意味を理解していなかったから、意識からこぼれていったのかもしれません。
最終形態がどんなものなのか。
その過程でどこにポイントをおいて注意すればいいのか。
そして、作業を間違えずに丁寧にするのではなく、力をかけずに仕上げられるよう、事前の準備だけ仕込んでおくと、ほぼ失敗しないとわかってきました。
ここに至るまで、社会人経験25年は有してします。
あと、それでも失敗をする場合、やるべきことが多すぎるということが考えられます。
よく、余計な作業が多くなりがちなのがバックオフィスです。
多くの人が失敗しないように、チェック項目だけが増えていく。
いろんな専用システムが入り組んでいて、その手続だけで精魂果ててしまう。
一体なんのための仕事なのか、意味不明なお作法があったりしたりします。
できたら、そんな環境を変えられる力を持つことが理想です。
とはいえ、組織の場合、できない可能性が高いでしょう。
であれば、自分ができる範囲で、改善できるところはするようにします。
そこで、私は経理のタスクをNotionのDBで、繰り返しチェックできるように構築しました。
失敗のリスクを回避するには、
- 工数を極限まで少なくする(作業の断捨離)
- そこから、最重要ポイントだけ注視するようにする
- 飛ぶように仕事しても、間違いないように事前に整える
- 作業環境を自分に合わせられるようにする(つまり、誰もがやりやすいように)
忘れ物女王だった少女は、いまは誰もがわかりやすいバックオフィスの効率化改革に勤しむ人になりました。
あの授業参観で大恥をかいた私の母。
あれから、私への干渉が増えていきましたが、逆にこんなことも言ってくれました。
「かずこのユニークさは、いいね」
ようは変わっているということですが、創造性やウイットがあると褒めてくれたのです。
もし、忘れ物が多い人が周囲にいたら、あまり矯正しないことです。
できたら、彼らが導きやすいように、飛び石を置くような声掛けをしてみてください。
難しいかもしれまんせんが……。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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