※未来永劫立ち続いている土蔵の壁の中身 幾重にも土台が組まれています
従業員5名以内の会社だと、経営者である社長の意向が大きな要素になります。
また、社内の連携も「阿吽の呼吸」で、あえて明文化しなくても、仕事が回る規模でもあります。
しかし、このままでは、もろに外的要因による影響を受けてしまい、意に反して諦めることも多くあります。
社長の経理とは、外的要因から会社を守るために、欠かせないものです。
今日は、数字が苦手と思っている社長が、日々経理を続けるために、必要な数字について、考えてみます。
どんな人にどんな未来を提供したいのか
まずは、事業計画です。
創業の際、どのような顧客に、どのようなサービスを、どのように展開するのか。計画を立てます。
よく、創業融資や補助金を得るため、作成する方は多いでしょう。
しかし、外部のために作成している場合が多く、いかに資金を引っ張り込めるように、心象のよい事業計画書を作っているのがほとんどです。
中小企業庁のホームページ、「夢を実現する創業」には、次のように事業計画書について、説明しています。
「人」「金」「物」の3点を整理するよう説明されています。
しかし、これはあくまで、外部にどのような経済的活動が行われるかを、まとめているにすぎなく、金融機関や役所が、いくら資金を出せばいいのか、算段するための情報を提供するための計画書となっています。
これでは、社長の指針となるものではありません。
社長が事業を続けるのに、必要なものは、外から提供を受けるものではなく、社長が創業するきっかけとなったストーリーなのです。
事業計画書にも、創業に至るまでのことや、創業理由を明記する箇所がありますが、それは、申し訳ない程度の欄しかありません。
まずは、外向けの事業計画書を書く前に、創業に至るまでの物語を書いてみていただきたいのです。書けないなら、信頼のおける人に語って聞かせることから、やってみてください。
こうして、自分を見つめていくと、なぜ創業したいのか、答えが出てきます。
自分が提供できること。
どんな未来を。
どんな人に得てほしいのか。
この3点がまとまってきたら、ほぼ、出来上がります。
これが、これから行う数字の落とし込みをするときの大事な土台となります。
借入しない場合を想定して数字を出してみる
次は、売上見込を立てます。
創業する際、売上を見込まれるから事業を始めるのだと思います。しかし、ここでいう、売上見込は、自分が提供する未来が、どのくらい広げられるかです。
ここで、事業内容や顧客一人当たりの単価など、金額に置き換えることで、さきほどの夢物語を、実現させる計画をたてていくのです。
5年分の売上見込を立ててみます。
そして、必要経費にいくらかけられるのか。支払える範囲でできることを洗い出します。赤字にならないように、支出項目の構成を考えます。
設備費がかかって、第1期は赤字の場合もあるでしょう。しかし、いつまでに赤字を回収すべきか、計算してみましょう。もし、赤字が続くようであれば、設備費などの固定費をかけることができないので、別の方法があるか、探します。
売上に対して、毎期利益が残るには、必要経費がいくら使えるのか、きちんと決めておきます。
年間ではなく、月割予算をつくる
これで、おおよその道筋がつけられるようになりました。
ただ、これだけでは、経理として予算書が機能することができません。
年間の予算書を月ごとに落とし込みします。
月割予算書を作成するとき、年間の動きにあたりをつけていきます。
創業してすぐは、サービス提供が起動のっていないことを見越して、販売管理費の支出だけになります。
サービスが始まっても、認知度が低く売上が少ないことも見越します。
しかし、年間で、黒字になれば、創業当初に必要な経費を支払うための運転資金が、どのくらいあればいいのか、予定を立てることができます。
そして、そのために、何月ごとから売上が起動に乗せなければならないのか、いやおうでもなく理解できます。
そして、一番大事なことは、予算書を作りっぱなしにしないことです。
毎月、月次決算を行い、予算と実際の乖離がどれくらいあるか、必ずチェックします。これが、社長が行う経理です。
もし、乖離が大きければ、軌道修正を行う必要があります。夢の実現を焦りすぎていなかったか。また、需要と供給が合っていたのか。もし、時期尚早であれば、今はなにをすべきなのか。
ここから、社長の悩みが始まり、経営が始まるのです。
毎月、月次試算表があがったら、「予実管理」を行いましょう。
以前、予実管理についてまとめています。
予想通りであれば、自身の先見の眼に誇りを持つことができ、予算通りにいかなければ、まだ夢の実現に必要なことがあり、それに早く気づくことができます。
「予実管理」をすることから、毎月の月次決算時に、方向性が間違えていないか、正しい経営をしているか、振り返ります。これを、毎月繰り返し、年次決算を迎えます。
社長が経理を続けるコツとして、夢を形にしていることと、それを毎月振り返ることを習慣化していくことに尽きます。
もし、月次決算時に、決算の数字しか見ていないのであれば、ぜひ、「予実管理」を取り入れてみましょう。