「取引はシステムの中で起きているのではない、現場で起きているんだ!」
踊る捜査線ならぬ、踊る経営管理(経理)。
というわけではありませんが。
経理のDX化、効率化で生まれた時間を使って、ぜひ、経理担当者は現場へ繰り出してほしいものです。
固定資産台帳を小脇に抱えて現場へ行ってみた
私が経理の仕事を続けようと思うきっかけをくれた、とある事件。
それは、固定資産台帳にあったものが、実は、とっくの昔になかった事件でした。
人事異動で、社会体育の現場から経理部門に配属された私。
まだ、20代後半でした。
スポーツクラブなど、様々な事業体を運営していた財団法人で、慣れない経理の仕事をしておりました。
慣れない中、その財団法人の決算を迎えます。
固定資産担当の同僚が、台帳を眺めてつぶやきます。
「こんなカタカナの備品を並べられても、よくわからないのよね。
現場から、何も言ってこないから、ずっとこのままなんだけど……」
それは、筋トレマシーンの数々でした。
1台、数十万から、数百万するものまで。金額にしたら、相当な額です。
でも、計上されている資産名が、こんな感じでした。
- ベンチプレスマシン
- レッグプレスマシン
- ラットプルダウンマシン
- レッグエクステンションマシン
- ショルダープレスマシン
- レッグカールマシン
- ケーブルマシン
- カーフレイズマシン
- ローイングマシン
- ハックスクワットマシン
- ペクトラルフライマシン
- ステアクライマー
- アームカールマシン
- レッグアダクター/アブダクターマシン
これでは、筋トレに精通していない経理担当者は、単なる呪文にしか見えません。
現場から連絡がなければ、そのままにしてしまうわけです。
でも、私の脳裏に、いやな予感が走りました。
「ちょっと、まて。この備品、新しくリース備品が入ってきたときに、倉庫に仕舞われていたはず……」
固定資産担当者が忙しく、代わりに鈴木がチェックすることになり、固定資産台帳を小脇に抱えて、古巣へ戻りました。
現場も、顔見知りのわたしがやってきたこともあり、快く案内してくれました。
「経理ってどお?厳しい人が多くて大変?」なんて、近況言い合いながら、
わたしは、固定資産台帳から除却(資産から除外する手続き)マークを入れていきました。
その年のその部門の決算に、どう影響でたのかどうかは、下っ端の私には、知らされませんでした。
でも、経理部からも、現場の責任者からも、「ありがとう」と言われた記憶だけ残っています。
このとき、経理部の先輩から言われた言葉が、今のわたしの仕事の選択に影響を与えています。
「現場を知っている鈴木さんだったからこそ、見つけることができました。現場との橋渡しに、これからもお願いします」
正直、現場の部長が失念していただけの話なのです。
でも、三つ子の魂百まで。
人生のライフワークに経理を選んだ私の中で、大切にしている出来事です。
それ以来、現場主義の経理・会計として、私の中で揺るぎないものになっています。
会社の決算時に、まずは在庫を目視せよ
次の話は、経理の現場から、会計事務所に職を移動したときのものです。
現場の経理以上に、現場から離れている場所。
それが、会計事務所です。
外勤担当者として、会社を訪問するのですが、経理も、その会社の社長も、できれば、不都合なことは隠したいわけで、
致命的なことは、あまり話たがりません。
帳簿上、違和感のないように、せっせと処理しているのが、現場なのです。
私にとって、税務・会計の師匠がいます。
最初に税務会計の実務を教えてくれた税理士です。
その先生といっしょに、私が初めて担当する顧問先の会社に、同行してもらったときに、こう言われました。
「いいか、決算のとき、顧問先が作る在庫表は信じるなよ。
必ず、決算日に在庫のある場所を見て、目に入れておくんだ」
経理を生きがいにするきっかけが、現場をチェックしたことだった私は、この税理士の言葉がすっと腹落ちしたものです。
それ以来、決算日には、材料倉庫を見に行くようにしていました。
また、別の担当者から引き継ぎするとき、必ずお客さんの資材置き場の場所も、教えてもらうようにしていました。
税務・会計での担当者の役割は、まずは現実を数字に正しく反映させることです。
その先、鉛筆なめなめして、どうアレンジするのかは、申告書を電子送信するとき、署名する社長と税理士が決めることです
ふしぎと、現場を知っていると、出される帳票の数字に違和感を感じることがあります。
そんな私を、好む社長と、苦手意識を持つ社長の2極化が生まれたりします。
でも、いいのです。それが、私ならではの仕事の仕方なのです。
慣習に溺れず、要所要所で現場をチェックしよう
もし、現場に行けなくても、現場の人と談笑できるような人間関係を築いておきたいものです。
「おい、ちょっと聞いておくれよ」と、現場担当者の武勇伝を聞くだけでも、現場の空気を知ることができます。
基本、会社での取引は、一度行われたものは、毎年繰り返します。
事業は継続するものですから。
ゆえに、一度現場とすり合わせして決めたルールは、ずっと変わらずに続いていきます。
でも、それにあぐらをかいてしまうのが、人間の性です。
一番最初の話のように、いつの間にか、固定資産が除却されたり、不都合なことが起きて、なんとか隠そうとごまかされたりするのが、通例です。
固定資産や、在庫は、一度購入したものは、そのまま残されているもの。
ひっそりと異動させられても、金銭が動くわけではないので、現場を知らない経理にとって、把握できないのです。
データを読み込んで、いろんな分析することに時間をかけるのも必要ですが、
データに上がってこない現場の現状を、実際の目で確かめることに時間を割いてみてください。
経理とは、人間の一番弱いところと真剣に向かい合う仕事でもあります。
ただ、データだけではなく、現場にいる人間も含め、金銭を介しない情報を得ておきましょう。
そういう意味で、現場をよく知る人が、経理や簿記を勉強する意味があるのです。
生身の人間が相手です。
そのための効率化、DX化を取り組んでいきたいものです。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅での仕事。ChatworkとNotionのWebhookの研究など
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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