繁忙期を理由に連絡が取れないのはしょうがないのか

確定申告も大詰を迎えました。

 

税務申告を請け負う税理士の先生方も、繁忙期と言われる時期で仕事量も増えて大変な様子です。

かつて、会計事務所に勤めていた頃は、私もこの「繁忙期」に押しつぶされそうになっていました。

しかし、それは、果たして正しい姿なのでしょうか。

私が抱いた違和感について、読んで下さっているみなさんに知っていただきたいのです。

 

大手を振って忙しさを口にする上司

 

何箇所か、会計事務所に勤めていたので、さまざまな上司たちにお世話になりました。

この繁忙期になると、兎角緊張が走るものです。

所内で、八つ当たりにするような人には、幸いなことに一緒に仕事することはありませんでしたが、

お客様に、

「いやぁ、確定申告なので、この日は伺えませんねぇ。」とはっきり言う上司がいました。

 

「ん？そのようなことを言ってしまっていいの？」と顔を挙げますが、一向にそれには気づかず、

お客様も、できた方々ばかりなので、「毎年、大変ですねぇ」と許していただく状態です。

 

税理士だから許されるのか？

他の業種だと、どんなに現場が立て込んでも、困っているお客さんがいれば、すっ飛んでいくのに。

 

逆に、3月入ってすぐに、客先に訪問に行こうなら、

「なんで、巡回の約束を入れたんか？うまく、予定をずらしたら良いのに。」

と言われたものです。

 

確かに、この時期に、確定申告を集中的にこなさないと、捌き切れません。

お客様に、訪問を延期することを当たり前にしていかないと、やっていられないのも事実なのです。

 

お客様にとって緊急事態はいつでもある

 

しかし、お客様が扱っているのは、経済という水物です。

この時期が忙しいからと言っても、経済状況は刻々と変わり、いつ材料仕入が高騰するか、日本への輸入が止まって、現場がストップするのか、絶えず綱渡りの中で仕事をしています。

 

確定申告の時期であろうが、相談したいことは、湧水のように湧くものです。

しかし、当の顧問税理士は、「確定申告なので・・・」を理由に、巡回訪問のリズムを崩します。

 

これでは、お客様の困ったに寄り添えない税理士になってしまいます。

こうやって、税理士は、経営の参謀に成れず、税金計算する職人になるのです。

確かに、年がら年中、忙しいわけではないので、比較的余裕のある時に、きちんと対応しているから、

多少日程がずれ込んでも、大丈夫という考えもあります。

 

しかし、経済は水物です。

それも、その流れは、世界情勢も相まって、予想以上に速くなっているのです。

中小企業の味方である税理士が、一時期、顧客の対応がやりにくくなる状況は、好ましくないのです。

 

確定申告のあり方を考える

 

こうなると、この所得税の確定申告のあり方を考える必要があります。

まずは、どのような人でも、自分で確定申告ができるようにする。

賛否両論ありそうです。簡単にすることがいいのか、マイナンバーの普及で、確定申告自体を簡素化するのか。

意見が分かれるところです。個人情報を、所轄官庁が全て握ることが正しいとも言えません。

 

税理士を医師のように専門性に特化させる

医師の診療科ごとに、専門医を設けているのと同じ考え方です。

 

税理士を、税法ごとに特化させて分業制にすれば、法人のお客様は、税理士に遠慮することがなくなります。

問題は、所得税専門の税理士の旨みがないことです。これも、意見が分かれることが想像できます。

しかし、業界全体で料金体制を整えることができれば、それはそれで、いいのではないかと。

花粉症の時期に、耳鼻科が大変になるのと、所得税専門の税理士が一時期忙しくなるのが、同じスタンスです。

 

逆に、所得税の申告をする必要のある人は、普段から税理士にしっかりと見てもらえるようにすることです。

報酬が高くなりますが、その支払いの覚悟がある人が、税理士に依頼できるようにし、

そうではない人は、自分で申告できるようサポートを受ける仕組みがあればいいのかもしれません。

 

 

このように、考えてみているのですが、どれも現実的ではないものです。

たった一人のひとり仕事人が言ったところで、なかなか浸透しないでしょう。

 

しかし、目の前のお客様が、困っている姿をみて、居ても立っても居られなくなりました。

全ての人がwin-winでいられる世の中になってほしいものです。