※ケーキを、ケンカせず均等に切るのは、難しい。
頑張って売上をたてているのに、思ったより利益が残っていない。
そんなことがありませんか。
おそらく、それは間接費が圧迫しているのかもしれません。
仕事に直結した費用だけ見てしまうと、本来売り上げなければならない金額から、
乖離してしまうのです。
このようなときに、「共通費配賦」という考え方を用いることで、本来売り上げなければならない数字が見えてきます。
間接部門の考え方
ある程度、会社の規模が大きくなると、部門が生まれます。
例えば、A部門、B部門、管理部門の3つあるとしましょう。
A部門とB部門は、売り上げをもっていますが、管理部門は、ただ、費用が生まれるだけです。
おそらく、このような損益計算書になっているはずです。
A部門 | B部門 | 管理部門 | 会社全体 | |
売上 | 10,000 | 15,000 | 0 | 25,000 |
原価 | 7,000 | 10,000 | 0 | 17,000 |
粗利 | 3,000 | 5,000 | 0 | 8,000 |
販管費 | 0 | 0 | 5,000 | 5,000 |
営業利益 | 3,000 | 5,000 | -5,000 | 3,000 |
A部門もB部門も、頑張って売り上げて、営業利益を残していますが、
なぜか、会社全体でみると、思ったより、利益が残っていません。
理由は、一つ。
管理部門にかかった経費があるからです。
正しい割合は存在しない
A部門だけの会社であれば、損益計算書の販管費も、計上されているので、
数字の把握はしやすいのです。
しかし、規模が大きくなると、部門が増えて、部門専属の担当者がつき、
会社全体より、自分たちの部門だけ考えるようになります。
つまり、会社が存在するための維持費でもある「管理部門の経費」を忘れがちになるのです。
このような場合、この管理部門の経費を、A部門とB部門に振り分けるようにします。
これが、「共通費配賦」というものです。
さきほどの部門別損益計算書は、このようになります。
A部門 | B部門 | 管理部門 | 会社全体 | |
売上 | 10,000 | 15,000 | 0 | 25,000 |
原価 | 7,000 | 10,000 | 0 | 17,000 |
粗利 | 3,000 | 5,000 | 0 | 8,000 |
販管費 | 0 | 0 | 5,000 | 5,000 |
配賦 | 2,500 | 2,500 | -5,000 | 0 |
営業利益 | 500 | 2,500 | 0 | 3,000 |
各部門の粗利では、そこそこ利益を出していたつもりでしたが、
配賦された後の営業利益では、想像以上に利益が減額されているように見えます。
しかし、これが実態なのです。
ここで、一つ疑問が浮かびます。
はたして、この配賦の金額がただしいのでしょうか。
答えは、Noです。
例えば、この配賦割合を売上金額の割合で分けてみます。
売上割合の計算の仕方は、次のようになります。
A部門の売上(10,000)÷会社全体(25,000)✕100=40%
B部門の売上(15,000)÷会社全体(25,000)✕100=60%
この割合で、配賦をすると、以下のとおりになります。
A部門 | B部門 | 管理部門 | 会社全体 | |
売上 | 10,000 | 15,000 | 0 | 25,000 |
原価 | 7,000 | 10,000 | 0 | 17,000 |
粗利 | 3,000 | 5,000 | 0 | 8,000 |
販管費 | 0 | 0 | 5,000 | 5,000 |
配賦 | 2,000 | 3,000 | -5,000 | 0 |
営業利益 | 1,000 | 2,000 | 0 | 3,000 |
おや。A部門の見栄えがよくなりました。比較的実態に近づいたようです。
しかし、数字に現れない費用があるのをご存知でしょうか。
例えば、会社の社長が、B部門にテコ入れをして、営業活動に精をだしていたとします。
そのおかげで売上が上がっているのですが、共通費の割合が、売上割合で振り分けられています。
ところが、実態は違うのです。
実は、社長の役員報酬は、管理部門から支出されています。
本来なら、社長の働き分をB部門に振っておくべきですが、それを無視して、A部門にも、社長の報酬分も負担している形になります。
A部門の責任者は、「おいおい、社長はB部門につきっきりだったのに。俺たちも負担するのかい。」
と、不満を抱いてしまいます。
このA部門の責任者が抱く違和感は、ある意味正しい感情なのです。
ここまで来ると、組織内の力関係に波及するのですが、それを織り込み済みにした上、
とりあえず、暫定的な割合で、配賦しているのが現状です。
正しくないけど、粗方、管理部門の費用を含めて、自分たちの売上金額が妥当かどうか、
検討するのが目的なのです。
まずは、間接費を把握しよう
中小企業といった、小さな会社の場合、そこまで必要ないでしょう。
しかし、この「管理部門の費用を含めて、売上計画を建てる」のは、大切なことです。
特に、社長さんは、売上や粗利だけ考えるのではなく、会社全体のバランスも考慮する必要があるのです。
まずは、自社の間接費(管理部門に該当する費用)にどんなものがあるのか。
いくら支出されているか。
使いすぎていないか。
この3点は、チェックしておくとよいでしょう。
そうすれば、会社のあるべき姿で、永続的な経営ができるようになります。
このような視点で、一度、損益計算書をチェックしてみてはいかがでしょう。
なお、私は、オンラインサロン「ひとり仕事経理塾」として、
毎週金曜日に、個人事業主向けの経理のノウハウをアーカイブで残しています。
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=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
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今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
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