フリーハンド経営とスケール経営。
これは、ふんわりとなんとなく、カンで行う経営と、
しっかり、数値を押さえて、次なる計画を進める経営という意味です。
私の造語でもありますが。
それぞれの良さもあり、欠点もあります。
フリーハンドで描く経営の良さと怖さ
創業したての会社、長年、社長のワンマンで経営してきたなど、
多くの中小企業で見かけるのが、この「フリーハンド経営」です。
「どんぶり勘定」や、「社長のカン」とも言います。
このフリーハンド経営の良さは、フレキシブルであることです。
状況に即した判断、臨機応変など、大企業には到底真似できない、対応力を発揮するには、
この「フリーハンド経営」の真骨頂ではないでしょうか。
しかし、危うい側面があるのも、理解いただけるでしょう。
このフリーハンドは、きちんと物差しで測って書き続けてきた人が、軽く予測立てるために、やるものです。
まだ、鉛筆を持って字を書くことに慣れていない小学生と、それなりに経験を積んだ中学生とは、
フリーハンドで描く図の正確さに、差があるのは、この経験値の違いです。
経験もないのに、正しい測り方も知らないまま、フリーハンドで描き続けていると、
自分の間違いに気がつかないまま、突き進んでしまうリスクを孕んでいるのです。
フリーハンドで、思い描く経営は、きちんと測ることができてから、初めてできることなのです。
スケール経営の良し悪し
スケールとは、英語で「物差し」のことを言います。
音楽を勉強している人なら、一度は通る「スケール」は、音階のことを示し、
基礎中の基礎として、叩き込まれる練習方法です。
つまり、スケールを用いて経営を推し量ることは、基礎中の基礎であり、経営者と名乗るのであれば、
全員が取り組むべきものと、言えるのです。
経営で言う「スケール」つまり、物差しとは、まずは財務諸表をあげることができます。
この財務諸表をきちんと読み込むことから、経営の礎になるのではないでしょうか。
しかし、基礎ばかり固守するリスクも大いに孕んでいます。
経済は水物です。
まして、時代の流れで、どんどん価値観が変わっていきます。
実際に、商売の駆け引きなど、肌感覚で間違いに気づくことも多いのです。
数値にとらわれていたら、勝機を失うことになりかねません。
そのリスクを知った上で、きちんと基礎を知っていることが、理想でもあるのです。
両方を使いこなせることが正解
今まで、さまざまな経営者の方々とお話しすることが多かったのですが、
完璧な経営ができている方は、そう多くありませんでした。
当たり前だと思うのです。完璧な人はいません。
私が、すごいなと思う経営者は、自分が欠けていることを知っており、
知らないことを理解しようとする人でした。
その心がけのある経営者は、スケールで測る経営を知ろうとし、
フリーハンドで描く経営の正確さを極めていきました。
フリーハンドで描こうか、物差しで図ろうか、いずれも自分の手を動かさないと、身につきません。
ゆえに、私は、スタートアップで規模が小さいからこそ、社長自身で経理をやってみることをお勧めしているのです。
規模が大きくなって、手間がかかるようになってから、経理をアウトソーシングするなり、社員を雇うなり、すればいいのです。
苦手意識は、誰しもありますが、チャレンジしてみていただければ、
私は、効率よく進められる方法を、お伝えすることができます。
ぜひとも、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。