2026年。サッカーワールドカップ。
テレビの前で、日本代表の試合を見ながら、ふと思ったんです。
「昔みたいに“決めきれない”感じが、減ってる」
これは、たまたまではないはず。そう感じました。
そして同時に、私の頭の中では別の現場が重なっていました。中小企業のAI導入です。
AIの話をすると、どうしても「できる人だけが使う道具」になりがちです。でも、それではチームは強くなりません。
サッカーで言うなら、スター選手が一人いるだけでは勝てない。一人ひとりがキャプテンになって、判断して動けるチームが強い。
では、どうやってそんなチームを作るのか。
キーワードは、JFAが25年前から続けてきた育成の考え方――裾野を広げるです。
今日は、サッカー育成の思想をヒントに「中小企業のAI導入を、どう設計すれば現場に根づくのか」を、元体育教師の視点をもって、できるだけわかりやすく書いていきます。
1. サッカー育成に学ぶ「土台づくり」の思想
今、活躍している選手たちは、いったいどのような教育環境の中で育ち、強くなっていったのでしょうか。
いろいろなところで分析されていて、ヨーロッパのリーグで活躍する選手が増えたことや、監督と選手の連携が強くなったことなど、さまざまに論じられています。
そのうえで、私は「事の発端は、25年前にサッカー協会が取り組んだ一つのプロジェクトにあるのでは」と考えています。
それが、「U-6キッズプロジェクト」です。

当時のリーフレット
子どもたちを支える大人のみなまさへ「キッズプログラム」JFA公式ページ
当時は日韓ワールドカップが終わり、次世代育成のために、いま抱えている問題や課題を解決していく方針を、全国の指導者へ発信している時期でした。
日本代表の成長と、JFAキッズプログラムの狙いは以下のとおり。
-
- 健全な体づくり
- チームワーク・スポーツマンシップ・社会性の育成
- 地域貢献と地域の発展
そして、当時大きな課題として挙がっていたのが「早期専門化の弊害」でした。
地域のスポーツ少年団などで、指導者が勝ち負けに特化した戦略やトレーニングを子どもたちに課してしまい、それが後の成長を阻害する問題になっていた時期です。
その問題意識から生まれたのが、このキッズプログラムだったのだと思います。
子どもの成長曲線に合わせた、アプローチを明文化し、指導テンプレートに落とし込みます。
注目したいのは、対象が選手だけではないことです。
地域、つまり選手を取り巻く環境にも相乗効果をもたらすことが重要視されている点は、いまの私たちの現場にも通じる話だと感じています。
底辺を広くすることで、エリートの質も上がることを証明してきた欧州サッカーの取り組みを参考にしたこのプログラムは、私たちのこれからを考える最初の一歩として、幼少期へのアプローチの大切さを教えてくれます。
2. 中小企業のAI導入は「裾野を広げる設計」から
ここからが、本題です。
私は長いこと「IT化」「DX化」の現場を見てきました。正直に言うと、あれは多くの場合、こういう構図でした。
- 人が、機械に合わせる
- できる人が頑張って、できない人は置いていかれる
- 結果、現場は疲れて、仕組みだけが残る
もちろん、うまくいったケースもあります。でも「中小企業が、同じやり方で大企業みたいにDXをやる」って、そもそも無理があるんですよね。人数も時間も余力も、ぜんぜん違います。
IT/DXとAIの違い(私の実感)
ITやDXは、ある意味「正解の型」を作って、そこに人が入っていくイメージです。
ところがAIは、ここが逆転します。
- 機械が、人の意図を読み取ろうとしてくれる
- 文章や会話の“途中”からでも、形にしてくれる
- 完璧な入力じゃなくても、とりあえず動く
この違いって、現場にとっては革命なんです。
だからAI導入は、いきなり高級なツールを買う話じゃなくて、「全員が触れる入口をどう作るか」の設計勝負になります。
「できる/できない」じゃなく「やる/やらない」
AIの話になると、すぐ「うちのメンバーは苦手だから…」とか「私には無理かも…」が出ます。
でも私は、そこを能力の問題”にしないほうがいいと思っています。
最初から上手に使える人なんて、ほぼいません。
だから問いはこれ。
- できるか?ではなく、まずやるか?
- いきなり完璧にやるか?ではなく、まず一回試すか?
このハードルの下げ方が、導入の9割です(ここ、強調したい場面なのです)。
裾野を広げる3原則(サッカー育成と同じ)
サッカーのキッズプログラムが「エリートをいきなり作る」じゃなくて、「裾野を広げる」ことから始めたように。
AIも同じです。
私は、裾野を広げるには“3つの設計”が必要だと感じています。
① 心理的安全:恥をかかせない
「それAIに聞くの?笑」とか、そういう空気があるだけで、人は黙ります。
だから最初は、笑わない/責めない/比べないを、仕組みとして守る。
② 小さな成功体験:小さく「楽になった」を積む
例えば、こんなことで十分です。
- メールの下書きをAIに作らせる
- 箇条書きを整えてもらう
- 会議のメモを要点3つにしてもらう
“ちょっと楽になった”が一回でもあると、次に進めます。
③ 俗人化の解消:できる人の技を「共有の型」にする
できる人が一人で抱えると、そこで止まります。
「そのプロンプト、みんなで使える形にしよう」
「その出力例、テンプレにしよう」
こうして才能じゃなく設計で広げる。
ここまで整ったら、次は「じゃあ、どこで全員が触るの?」です。
私はその入口として、Notionがとても相性がいいと感じています。
3. Notionで始める、チーム全体が回り出す最初の一手
「じゃあ、裾野を広げるって言うけど、どこから触ってもらえばいいんですか?」
ここが一番よく聞かれるところです。
そして私は、この入口づくりに関しては Notionがかなり強い と感じています。
理由はシンプルで、Notionは「道具(ツール)」というより、みんなで同じ土俵に立てる“場” だからです。
しかも、運用しながら形を変えていける。ここが中小企業には本当にありがたいところです。
ステップ1:MeetNoteで「話したこと」を資産にする
まずは会議です。会議って、終わった瞬間に蒸発しがちですよね。
- 誰が何を決めたのかが曖昧
- メモを取った人の頭の中にしか残らない
- 「あれ、誰がやるんだっけ?」で止まる
ここを、MeetNote(または議事録の仕組み)で、要点だけでも形にして残す。
最初から完璧な議事録じゃなくて大丈夫です。「今日の結論」「次にやること」だけでも十分です。
そして、この時点でAIの出番です。
会議メモが多少ぐちゃっとしていても、AIに「要点3つにして」「次のアクションだけ抜き出して」と頼めます。
この“ちょっと楽になった”が、最初の成功体験になります。
ステップ2:データベースで「日々の出来事」を積み上げる
次に、日報や週報です。
私は、日報って「頑張った報告」じゃなくて、チームの学習ログだと思っています。
うまくいったこと、詰まったこと、気づいたこと。小さくていいから、同じ場所に集める。
データベースに入れておくと、
- 後から検索できる
- 同じ質問に何度も答えなくて済む
- 「うちの会社は何で詰まりやすいか」が見える
こういうふうに、“場当たり対応”から抜け出せます。
ステップ3:タスク管理で「やること」を見える化する
最後に、タスクです。
ここはAIより先に、まずはNotionで
- 誰が
- いつまでに
- 何をやるか
を見えるようにするのが先です。
見えていないと、AIを入れても結局「何を頼めばいいの?」で止まってしまいます。
タスクの粒度も大事で、最初は“でっかいタスク”を作りません。
「15分で終わるレベル」まで小さく切る。これが、心理的安全にもつながります。
明日からできる“超小さな一手”
最後に、今日の結論を「明日の一手」に落とします。
明日の会議(または打ち合わせ)で、メモをNotionに貼って、AIに『要点3つ』を作らせてみてください。
それだけでOKです。
それができたら、次は「次のアクションを抜き出す」。その次は「担当者を決める」。
裾野を広げるって、そういう 小さな一歩の連続 なのです。
次の段階(少し先の景色)
ここまでが回り始めたら、次は「個人の便利」から一歩進めて、チームの型にしていく段階に入ります。
- よく使うAIの頼み方(プロンプト)をテンプレ化する
- 出力の置き場所・命名・粒度を決めて、迷わない運用にする
- 蓄積した議事録や日報から「よくある詰まり」を抽出して、改善の打ち手に変える
今日はそこまで深追いしませんが、「次に何を育てていくか」が見えていると、安心して最初の一歩が踏み出せます。
そして次はいよいよ、戦術・采配をどうするかを考えていく段階に進みます。
どの業務からAIを入れるのか。誰にどんな役割を持ってもらうのか。どんな型(テンプレ)を標準にするのか。
全員がボールに触れるようになったら、次は「どう勝ちにいくか」です。
ここまで来たら、チームはもう一段、強くなります。
日本サッカー代表は、ここまで来るのに25年かかっています。
まずは、今抱えている問題を明文化し、自分たちがどの成長段階にいるのかしっかりと認識するところから。
AI導入は、まずは自己分析から入ることで、遠回りのようで、成長への近道と言えるでしょう。
=編集後記=
【昨日の推し活】
長男と二人で蕎麦屋へ。
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