※数字だけ分析しても、実は足りないのです。
経営判断とは、何でしょうか。
経済事件が起きたとき、「経営判断原則」に基づいて、経営者が判断した事項が法令に遵守していたか、などの法律用語として使われています。
また、事業展開や人事の決断のことも「経営判断」と言います。
私達が、耳にする「経営判断」とは、後者に該当します。
小規模企業の場合、経営者と言われる立場の人は、たった1人の場合がほとんどのため、想像する以上に孤独です。そのため、迷うことも多く、誰かに判断してもらいたい気持ちに駆られます。
しかし、それでも立ち向かわなければなりません。
ポイントを絞って、何を押さえて判断すればいいのか、整理してみます。
財務三表と経営指標
はやり、数字は読めるに越したことはありません。経営の基礎とも言われますが、とっつきにくく、避けがちになります。
しかし、数字は必ずあるもので、どこをどう見ればいいのか、誰もがわかります。最初の段階で、しっかり理解しておけば、これほどわかりやすい情報はありません。
財務三表とは、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」のことです。
この三表は、電車の車両が連結されているように、つながっています。
これについては、Kindleにて本を執筆しています。
損益計算書は見慣れているけど、貸借対照表とキャッシュフロー計算書のことを知らない方が、どういったものなのか。イメージを持っていただける内容となっています。よろしかったら、ぜひ。
次に、経営指標です。
これは、財務三表を分析した数値のことです。
主に、「成長性分析」「収益性分析」「生産性分析」「安全性分析」「活動性分析」が上げられます。
小規模企業の場合、資金繰りのリスクがあるので、まずは「安全性分析」を抑えておくとよいです。
「安全性分析」とは、現在保有している運転資金が、自己資本に対して適正な割合かどうかを表します。ここで、安全性を確保してからでないと、うやみに事業展開を行っても、運転資金が枯渇してしまえば、そこで企業の継続性が絶たれてしまいます。
どう攻略すればいいのか。これは、自社の運転資金が適正にあるか把握してからの話になります。
そして、運転資金が少ないと分かれば、どのように資金の内部留保ができるか、そのときに、その他の指標(成長性、収益性、生産性)を必要に応じて分析すればいいと思います。
すべて全部の経営指標を、分析しなければならないとは限りません。
人的要因と外的要因
人的要因とは、従業員のことです。外的要因とは、顧客、取引先、金融機関などの外部のステークホルダーのことを言います。
従業員を抱えている場合、労務管理や人事評価をしますし、銀行の借入をする際、銀行の都合も影響を受けます。
取引先の状況によって、売上の増減の影響を受けることもあります。
商売をするにあたり、内外の要因は大きく影響を受けるのは、誰もがわかっていることです。
状況によって、新規開拓や営業にテコ入れもします。
このように、経営判断に直接影響を与えるのは、すべてのステークホルダーであり、これだけに気がとられてしまうのも、往々にしてあります。
社長及び経営者の思考のくせ
意外と忘れがちなのが、経営者自身の考え方のくせです。
とても慎重に、小さく始めるタイプか。逆に大風呂敷を広げるタイプか。どちらでもないタイプか。
お金の使い方や、思考のくせも、経営判断に大きな影響を与えています。
しかし、周りから指摘されづらく、本人はなかなか気づくことが難しいのです。
問題が起きるたびに判断してきたことが、方向性を間違えているのも、社長や経営者の認識によるものであることがあります。
それを正すのが、財務三表といった決算書の数字です。
また、顧問税理士など定期的に数字をチェックする専門家の意見も、社長や経営者を正しい道に導いてくれる指針となります。
このように、経営判断に必要な情報は、取引先や銀行、従業員の勤務態度といった、目に見えるものだけではなく、「きちんと数字を読むこと」と「自分のクセを知り、それを正してくれる存在を持つこと」によって、より正しい判断に導く情報を得られるようになります。
小規模企業における社長と経営者は、本当に孤独です。
寂しさのあまり、甘い言葉に流されず、自身のアンカーとして数字を読む力を、ぜひ養ってほしいです。