業務改革は、ゲームのようなものです。
これは、人気テレビドラマシリーズでも、よく見ます。
世直し行脚の水戸黄門。
月に変わってお仕置きをしてくれるセーラームーン。
つまり、何もしなければ、夢物語で終わってしまい、現実世界では変わらないのです。
それを、実現させるためには、大いなる工夫と目線が必要となります。
お金と時間さえかけて、とりあえず作っとけじゃ、改革はできないのです。
経理業務改革というゲームに挑む
私は、ゲームをやり込めている人ではありません。
なので、詳しくないのですが、そのゲームのストーリーを作るときに、元となるパターンについて、大学生のとき研究しておりました。
私の卒業論文のテーマがこれ。
「ファンタジー童話における元型について」
日本の児童文学作家の佐藤さとるさんのコロポックルシリーズを、ユング心理学の「元型」を用いて分析するというものです。
「元型」とは、人間が生まれつき持っている心の型のことです。
ユング心理学における主な元型のパターンは以下の通りです。
1. 自我(エゴ):意識の中心
2. 影(シャドー):自我を補完する無意識の側面
3. アニマ:男性の無意識における女性的側面
4. アニムス:女性の無意識における男性的側面
5. 太母(グレートマザー):包容力や生命力を象徴
6. 老賢者(ワイズオールドマン):知恵や洞察力を象徴
7. 自己(セルフ):心全体の中心
8. ペルソナ:社会的な仮面や役割
9. 英雄:困難に立ち向かう勇気や力
10. トリックスター:悪戯好きで変化をもたらす存在
これらの元型は、人類に共通する心の基本的なパターンとして、夢や神話、物語などに現れるとされています。
業務改革をするとき、改革を進める人は、だいたいこの「トリックスター」と「英雄」の役割を担います。
そして、このいたずら少年のようなキャラクターがやることを、大きな目で見守るのが「老賢者」であり、挫けそうになったら「グレートマザー」がエネルギーを補うようなフォローをしてくれます。
つまり、業務改革には、この「元型」パターンがそろってこそ、初めてストーリーとして走り出せるのです。
そうなのです。
業務改革とは、ファンタジー物語の勇者が、課題をクリアしていく過程と同じなのです。
改革を拒むもの タイプ別攻略
さて、勇者が挑む大きな壁は、どんなものなのでしょう。
実は、この改革を拒む人たちとは、自分の影(シャドー)を投影しています。
え?
他人のことなのに、自分自身だというのか?
疑問ですよね。
私自身も、改革の渦中にいるときは全く気が付きませんでした。
でも、もしかしたら、改革が成功するかもと思った瞬間、反対勢力だった人たちが、よくわかるようになったのです。
改革を進める勇者であるはずなのに、本当はまだ、弱い部分を持ち合わせていたわけです。
改革を推進するとは、自分自身の再生の道でもあります。
障壁となる人たちのタイプが、どれなのか。それは自分が一番良く知っています。
そして、元型タイプを駆使して、自分の影と戦っていくのです。
頑なに昔のやり方を手放さないケース
新しいやり方を取り入れようとしないケース。
実は、
- 勉強したくない
- 今の権限を維持したい
の2点があります。
これは、自分自身にも当てはまります。
正直、好きでもない勉強は避けたいし、今の生活を変えたくないのは、人間の本能とも言えます。
そんな人が目の前に立ちはだかり、自分の業務改革の邪魔をしてきたとしても、自分自身もそんな心を持っているので、互いに同類なのです。
唯一違うところは、勇者は改革する対象が好きなことであり、協力しない人は苦手なことだったりします。
たまたま、その分野の得意不得意の違いで、ここまで相反してしまうのです。
頑なに今までのやり方にこだわる人は、もしかしたら苦手な仕事を努力して身に付けており、やっと業務ができるところまで頑張ってきたのかもしれません。
そんな相手に掛けて上げる言葉は、
「私がもっとやりやすい環境にするから、安心して」
なのかもしれません。
やたらと改革者に食って掛かるケース
これが一番やっかいです。
嫉妬、妬み、やっかみ、ただただ理解できないなど。
負の感情をあらわにされるので、改革者にとって一番ダメージがあったりします。
この場合、時間をかけず、どちらがボスなのか、はっきりさせます。
実際に私がやったことは、次の通り。
- これからやる改革に必要なタスクをすべてリストアップ
- そのリストを見せて、代わりにやれるか打診する。
- 老賢者(もっと上の上司で、かつ温厚な人)に仲介を頼む。
一番効果があったのは、老賢者に登場していただく作戦でした。
これは、最後の切り札だったので、ここで解決できなければ、その人を異動させることも考えたりしました。
実際は、改革の意味を十分に理解することができず、ただただ、改革する人をわがままに見ていたことがわかったのです。
反発するには、必ず理由があります。
反対する人たちは、自分自身が投影されているので、自分の弱点を洗い出すことで、対策を講じることができるようになります。
傍観者
一番大変なのが、実は傍観者です。
反発してくれたほうが、対処を考えやすいです。
でも、傍観者は、こちらに情報を与えてくれません。
もし、仕事をする場所であれば、業務として依頼するようになります。
そして、仕事を通じて、改革の楽しさを味わう体験をすることで、傍観者から主体性を持った行動に、変化していきます。
一番たいへんなのは、ボランティア団体のような場所です。
強制力がないなか、気持ちで行動していただかなくてはなりません。
この場合、自分のタイプを、圧倒的な英雄に仕立て上げていきます。
つまり、この人は本気で取り組んでおり、仕事でも成果をあげていると認知してもらうのです。
人は、強い人に従う傾向があります。
その本能を利用するしかありません。
心を守るために必要な武装 組織の未来を知る
業務改革を、仕事だと思うと辛くなりますが、ロールプレイングゲームだと思えば、一歩後ろに下がって冷静に状況を見れるようになります。
次々にやってくる敵が、どのプロトタイプ(元型)に当てはまるのか分析すると、実は自分の弱点だと気付かされます。
こうすることで、無駄に自分を傷つけることがなくなります。
あと、もうひとつ大切なこと。
それは、改革後の世界を事細かに描いておくことです。
今、目の前にある困難を、乗り切るには絶対に欠かせません。
業務改革の担当者に求められる資質は、この広くて、この先を見通せる力です。
これを鍛えるには、夢を描く力、想像する力、それらを形にするための技術や知識を持つ力が必要です。
改革担当者をあえて若い世代に任せることがありますが、まさに、汚れのない未来を夢見る力に、期待しているにほかありません。
でも、一番理想なのは、50歳過ぎの定年前の年長者で、技術や知識を持ち、次世代に明るい未来を託したいと願う人材です。
つまり、「英雄」「トリックスター」「老賢者」「グレートマザー」を兼ね備えた人です。
でも、実際にはなかなかそんな人材はいません。
なので、業務改革をチームで取り組むことになります。
このメンバー構成を、ユング心理学の「元型」に当てはめることで、改革に必要な前進力を兼ね備えます。
もし、業務改革を考えている方、経営者の方がこのブログを読んでくださっているなら……。
ぜひ、この人選に、ユング心理学の「元型」を当てはめて、面白いストーリーを生み出すゲームの登場人物を作ってみてください。
もちろん、ご自身も改革チームメンバーになっていただき、役割を果たすことは当然であります。
さて、このブログの元となった、私の卒業論文。
学校の成績はすべて、中か中の上あたりだった私が、唯一「S」(一番いい成績)をいただいた教科でした。
原稿用紙にして、100枚。4万字は当時の私にとって、渾身の作でした。
これも、佐藤さとるのコロボックルシリーズのお話しが大好きで、
当時興味があったユング心理学を勉強するために、大学を変えてまで、作り上げた論文でした。
結局、改革も好きな分野であれば、なんとか実現できます。
どうせ大変なら、ゲームを楽しむようにしてしまえば、心の負担も少しは軽くなるかもしれません。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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