※季節のコスモス 季節を感じる=四季報 というわけではないのですが。
自社の経理業務を、あえて自社で行うこと。
会社の規模や、業態によって、社長1人が抱えるのが大変な場合もありますが、私は、経理業務こそ、社長が積極的に関わることをオススメしています。
業務フローから会社の現状を知る
経理は、日々のルーティンワークです。このルーティンワークによって、資金を循環させているのです。
そして、お金の流れは、事業体としての呼吸や血流だと思っています。
どこかで、呼吸が滞っていると、体内の循環器系に不調をきたします。
経理業務は、会社にとって、心臓のポンプの役割を果たしています。
経理フローを回している中、どこかで血栓のようなものがあれば、経理が上手く回らない、資金繰りが上手く行かないなどの症状がでてくるのです。
経理を自社でまかなうとは、自分の身体を自分でメンテナンスすることなのです。
自身の違和感があれば、即原因を突き止めることもでき、その検討材料も、即社長の手元にあるので、タイムラグなく対処することができます。
緊急性があれば、医療の介入のように専門家が入る必要がありますが、そうでない場合、毎日運動を取り入れるように自己メンテナンスする習慣を持つことで、自分自身で会社を守ることができるようになるのです。
この経理業務を自社で行い、内部統制がとれて、社長もフローにかんでいることを、「経理能力」といいます。
規模の違いはありますが、自社の経理能力を鍛えている会社は、経営で苦労しない傾向があるようです。
経理能力向上でセンサーを高める
経理担当者だった経験から、自社の経理能力を高めておく必要があると思うもう一つの理由は、「不正経理を防ぐ」と「異常値を早急に認知する」です。
経理業務のフローが正しくルーティン化されている場合、不正経理が起こりにくい環境になっています。また、いつもと違う数字が来た時、すぐにアラートを発することができます。
この異常値は、実際に経営している人間であれば、肌感覚でわかるので、すぐに気が付きます。
もし、経理業務を外部委託していたら、この異常値が出たとしても、月1回の試算表になった段階で、初めてわかることになります。
経理担当者の退職等により、経理フローが滞ると、不思議と、金庫から現金がなくなっているケースが散見しています。このような事故が起こる意味は、会社が機能していないことを表しています。
しかし、社長自ら内部統制をとっている組織は、現金紛失という事態は起きていません。
経理フローの感度を上げるとは、経理業務の効率化といった、作業を手短く行うということではなく、管理者の内部統制が機能しているということです。
経理を自社で抱える意味
会計事務所で勤務していた頃、領収書をすべて投げて記帳代行していた会社と、自社に経理担当者がいて、経営者と連携とっていた会社など、様々な会社の決算を見ていました。
俗に言う「金庫番」がしっかりしていた会社は、会社規模を適正に維持、または成長させることができている傾向があったように思います。
そして、社長が経理フローの一部として内部統制の機能を果たし、試算表を読み込めるようになると、その会社は一時業績が悪くなったとしても、自力で改善できていました。
1人社長であれば、すべて自分で経理をすることになりますが、外部に丸投げにして、経理能力がない会社は、いつまでたっても、他所様に頼らないと経営できず、本当の意味の競争力も向上を望むことができなくなります。
経費削減の必要性にかられて、経理担当者を雇わない=外部委託、という短絡的な対処は、大きな機会損失になってしまいます。
経理担当者がいない仕組みを、社長自ら構築し、工夫することで、会社の経理能力を向上させるきっかけにすることで、大きな飛躍を得るきっかけになります。
是非、自社の経理能力向上を得て、会社にとっての自己防衛や自己修復力を高めることをオススメします。