経理システム変更は、経理担当者にとって鬼門です。
「手間」「ダブルチェック」「数字がきちんと反映できるか未知数」「なのに、数字を早く出せと言われる」……。
正直、頑張ったとしても、間違えてはいけないというプレッシャーがかかっても、できて当たり前とされてしまう。
こんな貧乏クジは、なるべく引きたくありません。
小さな会社の建設業を例に、これからの経理担当者の求められるスキルをチェックしてみます。
DX化によって会計ソフトが万能ではなくなる
それでも、やってくるDX化です。
社内の環境に大きな影響を与える変化でもあります。
このような場合、差し支えない範囲から変わります。そして、変化を嫌う経理が、いつまでたっても古いシステムを使っていることになり、ガラパゴス化するケースを見てきました。
昨今の、電子帳簿保存法や、インボイス制度の影響で、経理ソフトにもDX化が求められるようになりました。
それでも、既存の会計ソフトにプラスαの機能をつける程度で済ます会社も多いようです。
でも、考えてみてください。
例えば、家の増改築。
古い母屋を残して、新しい廊下を付け足して、新しい部屋を随所に増やしていく。
このような家屋は、強度が担保されていない上、使い勝手も向上できないという結果に陥るのです。
社内のDX化もあり、経理部門でもデータのみで扱うような時代であれば、いっそ、全部解体して新築で建て直した方が、よっぽど効率はいいはずです。
経理の特性上、ミスは絶対に避けなければなりません。
しかし、「間違いは絶対的に悪」と言い切ることがプロだった経理も、変革が求められているのかもしれません。
経理に必要な技能と知識
これからの時代、経理担当者にどのようなスキルが必要なのでしょうか。
簿記
これは、絶対です。経理の共通言語でもあります。簿記が生まれてからずっと、このシステムは、変わらずに使われています。
わたしが思うに、この簿記こそ、最古のシステムだと思っています。
せめて、簿記2級は頑張って取得しておきたいところです。
税務(消費税・法人税)
インボイス制度が始まると、おそらく会計ソフトの消費税コードが、大量に湧いてくるはずです。
同じ支払いでも、非課税や不課税があります。
せめて、この判別は、人に任せず自分で判断できるようにしておきます。
以下が現状の消費税の種類です。読み飛ばしてください。
分類 | 名称 |
---|---|
売上 | 課税売上 |
売上 | 第1種課税売上 |
売上 | 第2種課税売上 |
売上 | 第3種課税売上 |
売上 | 第4種課税売上 |
売上 | 第5種課税売上 |
売上 | 第6種課税売上 |
売上 | 免税売上 |
売上 | 非課税売上 |
売上 | 非課税売上(有価証券) |
売上 | 非課税売上(輸出等) |
貸倒回収 | 課税売上 |
貸倒回収 | 免税売上 |
貸倒回収 | 非課税売上 |
貸倒回収 | 非課税売上(有価証券) |
貸倒回収 | 非課税売上(輸出等) |
返還 | 課税売上 |
返還 | 第1種課税返還 |
返還 | 第2種課税返還 |
返還 | 第2種課税返還 |
返還 | 第3種課税返還 |
返還 | 第4種課税返還 |
返還 | 第5種課税返還 |
返還 | 第6種課税返還 |
返還 | 免税売上 |
返還 | 非課税売上 |
返還 | 非課税売上(有価証券) |
返還 | 非課税売上(輸出等) |
貸倒 | 課税売上 |
貸倒 | 免税売上 |
貸倒 | 非課税売上 |
貸倒 | 非課税売上(有価証券) |
貸倒 | 課非課税売上(輸出等) |
仕入 | 課税売上対応課税仕入 |
仕入 | 共通売上対応課税仕入 |
仕入 | 非課売上対応課税仕入 |
仕入 | 課税売上対応課税輸入 |
仕入 | 共通売上対応課税輸入 |
仕入 | 非課売上対応課税輸入 |
仕入 | 課税売上対応調整(棚卸) |
仕入 | 共通売上対応調整(棚卸) |
仕入 | 非課売上対応調整(棚卸) |
仕入 | 非課税仕入 |
仕入 | 課税売上対応特定課税仕入 |
仕入 | 共通売上対応特定課税仕入 |
仕入 | 非課売上対応特定課税仕入 |
仕入 | 課税売上対応課税仕入返還 |
仕入 | 共通売上対応課税仕入返還 |
仕入 | 非課売上対応課税仕入返還 |
仕入 | 課税売上対応課税輸入返還 |
仕入 | 共通売上対応課税輸入返還 |
仕入 | 非課売上対応課税輸入返還 |
仕入 | 課税売上対応特定仕入返還 |
仕入 | 共通売上対応特定仕入返還 |
仕入 | 非課売上対応特定仕入返還 |
仮受 | 売上 |
仮受 | 第1種課税売上 |
仮受 | 第2種課税売上 |
仮受 | 第3種課税売上 |
仮受 | 第4種課税売上 |
仮受 | 第5種課税売上 |
仮受 | 第6種課税売上 |
仮受 | 貸倒回収 |
仮受 | 返還 |
仮受 | 第1種課税返還 |
仮受 | 第2種課税返還 |
仮受 | 第3種課税返還 |
仮受 | 第4種課税返還 |
仮受 | 第5種課税返還 |
仮受 | 第6種課税返還 |
仮受 | 貸倒 |
仮払 | 課税売上対応課税仕入 |
仮払 | 共通売上対応課税仕入 |
仮払 | 非課売上対応課税仕入 |
仮払 | 課税売上対応課税輸入 |
仮払 | 共通売上対応課税輸入 |
仮払 | 非課売上対応課税輸入 |
仮払 | 課税売上対応課税輸入(国 |
仮払 | 共通売上対応課税輸入(国 |
仮払 | 非課売上対応課税輸入(国 |
仮払 | 課税売上対応調整(棚卸) |
仮払 | 共通売上対応調整(棚卸) |
仮払 | 非課売上対応調整(棚卸) |
仮払 | 課税売上対応課税仕入返還 |
仮払 | 共通売上対応課税仕入返還 |
仮払 | 非課売上対応課税仕入返還 |
仮払 | 課税売上対応課税輸入返還 |
仮払 | 共通売上対応課税輸入返還 |
仮払 | 非課売上対応課税輸入返還 |
仮払 | 課税売対課税輸入返還(国 |
仮払 | 共通売対課税輸入返還(国 |
仮払 | 非課売対課税輸入返還(国 |
課税対象外 | 課税対象外・不課税 |
区分未定 | 区分未定 |
正直、気が狂います。
現実では、会社の規模や業種によって、使わないコードもたくさんあるので、実務ではそれほど困らないでしょう。
しかし、これに、適格事業者ではない事業者のための消費税コードが、追加されるのです。
この上、経理のスピードをあげよとか、システム入れ替えを考えろなんて、無茶ですよね。
気持ちはよくわかります。
あと、法人税は必要です。減価償却資産、接待交際費の要件、貸し倒れなどは、知っておくといいでしょう。
詳しく知る必要はありません。「あ、これ、税理士に確認した方がいいかも」と気づけば十分です。
Excel
会計ソフトから出力する試算表は、正直、簿記や経理をやったことがない人にとって、わかりにくいものです。
そこで、Excelの出番です。会計ソフトからエクスポートしたcsvデータを取り込み、会議用資料として、表の作り変えをします。
また、会計ソフトに入れる前に、一旦Excelで計算させたものを、インポートすることもあります。
このExcelで使えるといいのは、関数(SUM,ROUND,IF,VLOOKUPなど)と、ピポットテーブルです。
あと、ショートカットキーを知っておくと、効率化が望めます。
現場で使っている台帳などのマスター
会計ソフトと現場で使っているシステムのマスターを、統一させられるかどうかで、社内業務の効率化が図れるかが決まります。
たとえば、建設業の場合、現場担当者が見積書を作り、工事台帳を作成します。
この取引先と支払先マスターを、会計ソフトと同じにすれば、csvデータでやり取りすることもできるのです。
カタカナが全角か半角。株式会社なのか、(株)なのか。たったそれだけで、マスター情報を共有することができなくなります。
この理屈を理解しておくだけで、その後の経理業務フローに手間が増えるかどうか、変わってきます。
マニュアル作成
システムが変わると、社内の業務フローも変わります。
口頭で説明しても、なかなか浸透しないものです。
そこで、誰もが見てもわかるマニュアルを、サクッと作ることが求められるでしょう。
このとき、誰もが見てもわかりやすいように、図や文字をバランス良くデザインできるセンスもほしいものです。
法務の知識
工事請負契約書、または税理士との契約書など、これからは契約書をきちんと理解できるといいでしょう。
番外編:プログラミング
Google App ScriptやRPAが、一番知られています。
プログラミングとは、様々な言語があり、Pythonなども有名です。
ひっそりと、プログラムを組んで、一人だけ早く仕事を終わらせることもできます。
そして、余った時間で、システムのことを勉強することもできます。
自分に必要なことを、得るチャンスです。
システム構築ができるための勉強方法
簿記だけできればいい。会計ソフトの扱いが上手ければいい。
もうそれは、いままでの価値観になってしまいました。
では、どうやって、これから必要な知識を得ればいいのでしょうか。
まずは、仕事を受けてしまって、勉強しながら覚えるのが一番早いです。
わたしも、Excelを覚えたのは、経理部にいたときの、会計監査資料作成でした。
とはいえ、事前に勉強しておきたいもの。心の準備があれば、
「自分ができます」と手を上げる勇気も出てくるでしょう。
わたしがおすすめは、Notionで入出金管理を作ってみることです。
システムの大本は、データベースです。
この概念を体感するのに、Notionのデータベースを作ってみるのが一番わかり易いです。
ここで、Notionに慣れることができれば、今度はデータベース同士のLinked viewを使った「資金繰り表」を作成してみます。
Excelでも、データベースと同様のものを作ることもできますが、Notionだと、一番わかりやすく目の前のモニター上で、データのリンクする様を見ることができます。
目の前の業務に追われないよう、時間的余裕も必要です。
それが叶うよう、社内で協力しあえる風土もあるとなお、いいでしょう。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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