経理のデジタルトランスフォーメーションとは、領収書をスキャンすることではなく、
仕訳データをcsvファイルにして、スルッとインポートすることでもなく、
銀行データを、クリックひとつで取り込むことでもありません。
現場の経費精算がなくなることでもありません。
まして、デジタル化を簡単にしてくれるツールを導入することでもないのです。
手段が目的になってしまっている、昨今のデジタルトランスフォーメーションですが、
本来は、私たちの情報の捉え方を変えることにあり、今までの当たり前を壊すことにあります。
経理の記帳とは、情報をデジタル化にする作業です
そろそろ確定申告ですね。
いっそのこと、全自動で申告書が出来上がってくれないかなと思いたくなる気持ち、わかります。
経理・会計の仕事をしている私でさえ、めんどくさいわ、これ、と思います。
資金に余裕が出てくると、決算書を作成するためだけの仕事は、外注に出すようになります。
俗に言う、税理士に頼むというものです。
領収書や請求書、銀行の通帳などの会計資料を渡し、しばらくすれば、確定申告までしてくれます。
でも、この会計事務所の仕事は、実は、紙媒体のデータをただただデータ化し、集計した答えにあった税金計算をして、また、紙媒体である確定申告書に落とし込むということをやっています。
つまり、紙→データ→集計→計算→紙です。
このサイクルを、毎年繰り返します。
そして、税理士の仕事は、紙に上がってこない情報を拾い上げてデータ化していきます。
そして、計算時に、どの数式を選択するか、税法と照らし合わせて判断します。
この作業の過程のほとんどを占めているのが、紙媒体または口頭や実際に目撃した情報を、デジタルデータ化していく作業です。
これが、記帳です。
法律で、紙媒体の証拠書類を保存する義務が昔からあったので、ちょっと前は、紙媒体になっていない情報を文書化する仕事もありました。
もし、この紙の文書作成をスルーすれば、経理部門でのデジタルトランスフォーメーション化は、それほど難しくないでしょう。
でも、紙媒体にも残さなければならないため、2つの相反することを、同時にこなさないといけません。
ここが、紙媒体からのデジタルトランスフォーメーション化が難航する原因でもあります。
紙をPDF化する≠デジタル化
あともう一つ、間違いやすい問題があります。
それは、紙の帳票をひたすらPDF化にすればデジタル化になると信じているケースです。
レシートをスキャナすれば、それはただのPDFファイルにすぎません。
PDFファイルとは、紙の残存をデジタル保存するためのものです。
今、会計事務所では、紙でもらってきた帳票を、PDFファイルで顧問先からもらうことが増えてきました。
でも、記帳の際、PDFファイルを紙出力しないと効率が上がらず、結局紙媒体が残ってしまう現象が起きています。
それなら、最初から紙でもらってくればいい。
そんな結論に、簡単に至るわけで、せっかくのデジタルトランスフォーメーション化が進まない要因となるのです。
PDFデータは、あくまで紙の上でデータが散らばっているものです。
そこから、必要な情報を得るのに、モニターに映った残像を目視で拾い上げていく作業は、困難を極めます。
デジタルトランスフォーメーション化を進めたいなら、PDFファイルからデータを抽出させて、データ化する過程を忘れてはいけません。
これを実現させたのが、「電子取引保存」という法律です。
電子でもらったデータを、人の目にわかりやすくするためのPDFデータを紙に出力してしまわず、PDFデータのまま残しておくというものです。
これは、この媒体変更という工程が増えて、データ改ざんの余地を無くすことを目指している法律とも言えます。
経理のデジタルトランスフォーメーション化をするためには、いつの段階から、紙媒体からデータを抽出させるかを理解していないと難しいでしょう。
そして、それを実現させるために、専門のエンジニアがコードを書き、その仕組みをシステムに搭載させています。
これが、今のデジタルトランスフォーメーション化です。
データではわからない!と思う感覚を壊そう
本来、経理業務の流れは、自社が独自で積み上げてきた歴史があります。
運用しながら、トライアンドエラーを繰り返し、今ある仕組みができあがっているのです。
ここで、にわかにデジタルトランスフォーメーション化するために、専門家が作ったシステムを導入すると、何が起こるのでしょうか。
それは、仕組みの運用トライアンドエラーがストップしてしまうことです。
世の中、どんどん変化していきます。
今いる社員たちで、それに対応していかなければなりません。
でも、バックオフィスが、大きなシステムを入れたことで、業務フローの改善が止まってしまえば、時が経てば経つほど、使えないものになってしまいます。
もし、生きたデジタルトランスフォーメーション化を導入するなら、専門家に丸投げせず、自分たちで進めるしかありません。
そこで、今いる社員が、デジタルトランスフォーメーション化について、知識と技能を得ることが必要となります。
とはいえ、いちからプログラミングの知識を得るには、無茶です。
やはりデジタルデータを分解して区分けする視点を持っていないと難しいです。
その感覚を養うには、業務の流れを、形で把握するのではなく、なんの情報が流れているのか、透視する見方ができるようにすることです。
これを、病院の検査で例えると、
身体の表面だけではなく、血管に造影剤を入れて、血液の流れをX線でチェックする、でしょうか。
業務フローを、自然光ではなく、X線で見通す見方をすれば、次の一手がわかってきます。
問題は、この見通す視点をどう身につけるかです。
私は、Excelや帳簿の目視でやっていた仕事を、Notionに置き換えたことで、データの捉え方を身につけることができるようになりました。
まずは、本格的なデジタルトランスフォーメーション化を進める前に、自分の仕事をデータ化してみたら、どうなるか、試算テストしてみましょう。
一番わかり易いのが、売掛金や買掛金の帳簿チェックです。
今まで、元帳を紙に印刷して、消し込みしていた作業をNotionのデータベースにインポートして、ソートやビューを変えて、残ったものを抽出するやり方に変えてみます。
紙媒体の情報は、ひたすら必要ない情報を消し込んでいく見方ですが、
データは、残った情報を抽出する見方になります。
結果は同じですが、この視点の違いを体験することで、なんとなくデータ化の意味を会得していきます。
あわてて、システムを入れる前に、まずはデータとは何か。
この視点を持てるようになれば、自分たちでノーコード、AIを駆使してシステムを作れてしまうかもしれません。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅での仕事。ChatworkとNotionのWebhookの研究など
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
50代からのひとり仕事を楽しむ
ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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