先日、会計界で大きなニュースが飛び込んできました。
これは、税制改正のひとつ、「電子帳簿保存法」の改正により、電子取引(Amazonやサブスク引落など)の領収書を電子データのまま保存することに対して、猶予期間を設けるというものです。
これだけなら、なぜ大変なのか、わかりにくいでしょう。
つまり、今まで領収書の紙保存が認められていたところ、紙出力保存が廃止することになり、急転直下で、施行に2年の猶予が認めらたことで、行政の対応に振り回されてしまっている状況になっています。
このニュースを読み解くと、私達を取り巻く世界が大きく変化しようとしていることがわかってきます。
電子取引による領収書の電子保存義務化、2年猶予へ
なぜ、施行直前になって、猶予されたのか。
ことの経緯を整理してみます。
1998年 電子帳簿保存法スタート
2005年 電子取引 電子保存義務化スタート(紙保存OK)
2021年 来年1月から電子取引領収書の紙保存廃止
そして、ここから、怒涛の動きが起こりました。
2021年7月 「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」公表
電子保存されてなければ、青色申告の承認取消対象となることを公言。
問42にて、保存義務を果たしていないと、青色申告の承認が取消されるかの問に対して、青色申告の承認取消があり得ると回答されています。
2021年11月 「お問い合わせの多いご質問」資料公表
直ちに青色申告の承認取消というペナルティを課すことはしないと公言。
一問一答【電子取引関係】問42の補足説明として、電子取引の電子保存されていなくても、正しく記帳され、取引情報が他のデータからも確認できれば、直ちに青色申告の承認の取消はしないと、補足説明がなされました。
2021年12月 電子取引の電子データ保存義務化を2年猶予する。
(届出の必要性があるか、2021年12月7日現在不明)
政府・与党の発表により、22年度与党税制大綱に盛り込み、年内の関連省令の改正すると、日経新聞の報道がありました。
この7月から12月にかけて、急に緩和されたのは、各方面から、導入に間に合わない等意見が出されたことを受けての判断というわけです。
世の中の流れを国策が後押ししている理由
マイナンバーカードの普及、電子マネーの普及、そして、この電子帳簿保存法の厳格化(一旦、緩和されたが)。
このことから、一体何を意味しているのかを、じっくり吟味する必要があります。
つまり、今までのルールが変わるわけです。
スポーツにおいても、ゲームの世界においても、ルールとは意味のあるものです。
ルールに従うことで勝敗が決まり、ルール改正が行われたら、新しいルールに対応した作戦を練るのは、当たり前のことであり、有力な選手ほど、しっかり対策を練ってきます。
今回の改正に伴う混乱劇から読み解けることは、「猶予期間が終わる2年後は、どのような理由があろうとなかろうと、電子帳簿保存法は厳格に取り締まってくるのではないか」ということです。
中小企業に対して、今まで税務調査において経理事務の煩雑を理由に、お目溢しされていたことも、厳格にチェックされてくることが予想できるのです。2年間猶予与えたのだから、しっかり準備しているはず、という論理が成り立ってしまうのです。
「大丈夫だろう」が「大丈夫じゃないかもしれない」に変化することに、肝に命じた方がいいかもしれません。
今回の流れは、意味のある変化であると、理解しておいた方がいいのではないでしょうか。
記録はデータへ、思考は紙へ使い分けと時間をつくろう
ここは、考え方をぐるりと変える時期がきたと思ったほうがよさそうです。
そして、これからの経済や税制の新たなルールで、戦っていく覚悟を持つべきです。
紙に固執した経理を、頑なに続けるリスクが出てきたからです。
しかし、紙の利点も大いにあります。
これからの時代は、記録は電子化し、汎用性を高めて情報を組み合わせるようにしていき、アイディアや創造的発想は、紙に書き出すことで、整理または生み出すことができるのではないでしょうか。
2年の猶予が与えられました。
この間に、新たなルールの対策を練って、自分たちなりの作戦を作る時間ができました。
お金をかけて解決するのも良し。
自分たちで工夫できるよう、お金をかけず知恵で効率化を目指すのも良し。
単なる記帳から、経理戦略に耐えうる仕組みを構築するタイミングがきました。
今を逃さないように、与えられた時間を有効にしていきたいものです。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
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ひとり仕事の格言、ブログ・You Tube更新を配信。
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