※感染防止のシールド 邪魔とみるか保護感満載で安心するか
運動会の振替休日で、平日の蔦屋書店に娘と行きました。
ご多分に漏れず、人と人の間に、アクリル板の仕切りがあります。
いくら家族とはいえ、間に仕切りがあるのはとてもありがたいものです。隣の人の私物が、境界線を越境してこないのは、安心するものです。しかし、自分にとっては、少し邪魔に思うのも本音です。
このアクリル板が、ありがたく思うのか、邪魔に思うのか。
これは、企業経理で、現場との確執で生じる感情に似ているのではないかと思ったのです。
現場vs経理 仁義なき戦い
公益法人で仕事をしていた頃の話です。
当時の私は、現場サイドと、経理部門の立場の両方の経験がありました。
現場にいた頃、経理からの電話に戦々恐々としていました。
「仮払精算の件です。合計金額が間違えていたので云々・・・。」
「請求書を回して頂いていますが、横罫合計があっていないので、再発行の依頼をお願いします。あ、支払期限があるので、いそいでください・・・。」
まだ社会人なりたての私にとっては、とても怖い存在だったのです。
管理職も同じだったようです。
年に一度の予算策定時に、管理職たちは数日会議で缶詰になります。
私が経理部に配属された頃、会議終了後に経理部門にやってくる管理職たちは、疲労感でいっぱいの顔で私達に話しかけてきます。
また、どう見ても消耗品費である支出を、旅費交通費で強行精算する管理職がおり、電話をかけると「予算が余っている科目で精算をしたい」と宣い、「はあっ?冗談じゃありません。こちらで訂正かけます。」と喧嘩腰になったりしたこともありました。
現場と経理の仁義なき戦い。
とにかく、経理部の人は、ルールに厳しく、1円たりとも間違えてはいけないという強迫観念で現場に迫る様は、まるでアンニュイな処理を決して認めない、まるで宗教戦争のようです。
経理の存在意義
本当に、現場と経理は敵対するのでしょうか。
頭で考えれば、それは間違いだとわかります。
しかし、現実はそうは行きません。
経理は、現場と経営者陣の間に立つ、1つの翻訳アプリのようなものだと思います。
現場と衝突起こす時、これは、経理が経営者の意向をそのまま現場にぶつけている場合です。
なぜ、余った予算から別の項目を支出させるのか。
これは、予実管理の弊害であり、予算から逸脱した時の経営者からのキツい問いかけから逃れるための処理だったりします。
であれば、経理は、現場に対して、その処理の必要性がないことを理解してもらい、経営者陣に、現場の現状をまずは正しく把握することを提言しなければなりません。
経理は、単なる取引の記帳現場ではありません。
現場と経理、経理と経営者陣。
この現場と経営者陣の間に入って、通訳の役割を果たし、自浄作用を機能させるのが本来の役割だと思うのです。
経理人の目線は、目の前の帳票ではなく、帳票から伝わる内と外の現状を見るべきです。そして、内外に正しいアラートを発することができます。
外的要因から現場を守るシールドになれるか
経営者陣も、経理は、現場の状況を把握するセンサーの役割であることを知っておくべきです。
経理や現場に激を飛ばすのではなく、本当のことを見極める視点を持ち、現場が本来の力を発揮させることが、本来の役割であることを肝に命じる必要があります。
そうです。会社という宇宙船の艦長である経営者陣は、あらゆるセンサーから表示される情報を元に、進路設定を決めていきます。
センサー機器に八つ当たりしたり、現場から上がってくる報告を歪曲させたりしたら、そんな艦長の下で宇宙船に乗るクルーは不安でたまりません。
感度のよいセンサーとして、経理は、穏やかに、しなやかに立ち振る舞えるよう、していきたいものです。