もう、個人の確定申告が終わっていますが、今は、絶賛3月決算の会社が、決算に追われている時期です。
会計事務所に依頼するケースが多い中、自分で決算をするときのコツをまとめてみました。

締めとは、決算日に数字を固めること。縄で締め上げるのではありません。
決算とは、貸借対照表を正す作業です。
実は、損益計算書って、一発で正しい数字を出せないことをご存知でしょうか。
売上を入れ忘れた。経費をダブルで登録してしまった……。
いろんなケースがあります。
また、税法チェックによって、数字が動くことも。
今は、消費税が複雑になっているので、納税金額までズレるなんてざらです。
会計事務所で、よくやる決算チェックは、法人税の科目内訳書を作成しながらやっていきます。

国税庁公式HPより
ただ、会計ソフトの残高数字を転記するだけではチェックになりません。
現実の世の中にある実際の帳票の数字と、会計ソフトの残高があっているか確認することが目的です。
正直、この科目内訳書については、私達現場経理の人が作る必要はないと思います。
でも、このチェックをする工程だけは、会計事務所任せにするリスクが非常に高く、知らないうちに、不都合な処理をされていても、気が付かないことがあるのです。
自分の身を守るためにも、勘定科目チェックをしていくようにしましょう。
ここで、私は、Notionのデータベースを活用しています。
- 帳票の画像
- 帳簿残高
- 実際の金額
- 特筆事項の記録
これらをひとつのフィールドに保存し、他の科目といっしょに一覧で見ることができるのは、Notionだけです。
そのまま、来年の決算に前年比較をしながら進められる利点もあります。
さっそく、私がやる決算を一緒に見てみます。
決算手順は、貸借対照表の順番で行う
貸借対照表の上「現金」から始める
まず、Notionにひとつのページを作ります。
そして、空のデータベースを作ります。
こんな感じです。
ここには、自分たちの貸借対照表の科目を、上から順番にデータを作ります。

マネーフォワードの残高試算表。私は見やすくて好きです。
会計ソフトの残高試算表で、貸借対照表を見ながら、データの枠を作ります。
そして、順々に決算項目を入力していきます。
現金には、出納帳の決算日の残高が見えるものをPDF化しておきます。
普通預金など、金融機関のものは、決算日の通帳に記載している残高がわかるところを、PDF化します。
(基本的には、残高証明書を原票とします)
ステータスは、数字が一致して、資料すべてアップできた科目から「完了」に変えていきます。
これが、結構気持ちがいい。
そして、決算時の特別な事情がある科目については、必ずメモを残します。
こうやって整えていくと、実際に添付しようとすると、台帳が不完全だったことに気づきます。
資産台帳に、金額など入力していません。
ここで、慌てずに、しっかりと台帳の体裁を整えていきます。
決算のときは、時間との勝負。優先順位が低いものは適当にしているので、だいぶ抜けていることがあります。
この決算チェックは、主に帳票をきれいにして、決算仕訳に漏れがないか確認するためにやると同時に、来年の決算で、どこから手をつけたらいいのか、すぐに取り掛かるようにします。
貸借対照表が固まったら、収入の確定に入る
次に、チェックするのは収入の金額です。
NPO法人などの公益法人の場合、会員台帳と会費、入会金の内訳がピッタリ合っているか確認します。
私は、会員マスターDBをもとに、会費台帳をリレーションで作っています。
そのNotionページのリンクを、電子帳票リンクとして貼っておきます。
Notionで決算をやる利点はここです。情報が一箇所にあるので、作業するときのストレスがありません。
事業収入は、売上台帳のページリンクを貼ります。
最後に、共通費按分についてメモを残します。
そして、会計ソフトの設定画面のスクショもアップしておきます。
最後に、総勘定元帳をPDF化にして、こうやって、数字をかためたら一旦終了です。
あとは、法人税と消費税を計算し、確定申告書を作成するときに、必要な項目を付け足していきます。(租税公課の内訳など、別表に必要な情報も残していく)
税務の記録については、自社で確定申告をしている会社以外は、会計事務所が行います。
そうなれば、会計事務所にこの確定情報を共有することで、スムーズに申告まで進めることができます。
決算は終わりではなく、新たな始まりのスタートです
ここまでする必要がある?
そう問われたら、私は胸を張って「はい」と答えます。
会計ソフトを開けば、すぐに情報があるから必要ないと言われたら、そうなのかもしれません。
でも、クラウド会計も含め、来年に会計ソフトがきちんと稼働しているかどうか、不確かでもあるのです。
電子帳簿保存法により、会計ソフトに入ったままでも大丈夫になりましたが、ソフトのサブスク支払ができず、いざというときに開けない(freeeはそうでした)こともありえます。
いつでも、決算資料をいつでも出せるようにしておくのも、経理のりっぱな仕事でもあります。
あと、決算メモを記録するうえで、一番効果があるものがあります。
それは、次の年の経理業務の改善をしたくなるというものです。
なぜ、スムーズに決算の数字が固まらなかったのか、決算中にその原因はすぐにあぶり出されます。
そうなったら、次の年から2度と同じ失敗がおこらないように、間違いリスクを徹底的に排除するやり方に変わっていきます。
今回、私は小規模のNPO法人の決算をやりました。
去年の決算では、実はこの決算メモを残さず、申告や行政への提出をしていました。
今回は、すべて記録に残し、いつでもNotionのアカウントを引き継げるようにしておきます。
これが、経理の仕事をするうえで、一番失敗リスクを抑えることができ、日頃の経理処理が、決算をイメージして無駄なことをしなくなってきます。
この、無駄な動きをするかしないかが、経理業務のセンスと私は呼んでいます。
忙しくて、そこまで手が回らないと思われるかと。
でも、このメモを作りながら決算をすれば、先を見通す仕事ができるようになります。
参考になればうれしいです。
=編集後記=
【昨日のできごと】
1日、自宅で仕事。そして、YouTubeを収録。
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