※筆選び放題 地元公立高校の書道部部室より
「弘法筆を選ばず」
弘法大師は、実力があるので、うまく字が書けなくても、道具のせいにしない。
という故事ことわざがあります。
ガジェット好き、道具大好き、筆記用具なんてリッチなものに手を出している私としては、耳が痛い言葉です。
本当に、弘法大師は、筆を選ばなかったのでしょうか。
まずは、現代の私達が、道具を選ぶときのパターンを振り返ってみて、
このことわざの真意を探ってみようと思います。
「とりあえず」、最高級のものに手を出している
例えば、ブランド品です。
財布といえば、「ルイ・ビトン」
車といえば、「ベンツ」
時計といえば、「ロレックス」
きりがないですね。
私も若かったときは、プラダのパイソン革財布を使っていました。
大切に使いすぎて、15年くらい使い倒して、今では家用のカード入れにしています。
これだけ、使い倒せば、元はとれたかもしれませんが、果たして金運が上がったかどうか、非常に怪しいです。
とにかく、ブランド品を買っておけば間違いないでしょ。という発想が、この
「とりあえず」になります。
「よく考えて」、最高級のものに手を出している
さて、悩み抜いて、最高級品に手を出す場合は、どんなときでしょうか。
私の場合、ガジェットになります。筆記用具や万年筆も、これに該当します。
「筆記用具の沼」→ここをクリック
例えば、パソコンの充電器選びだと、スペックの基準がありすぎて、どこを基準にしたらいいのか、よくわからなくなります。
また、「とりあえず」大容量にせずに、必要最小限の容量にこだわって、ギリギリのラインを攻めてみたりします。
iPhoneの容量を下げてみた→ここをクリック
この道具に対して悶々と悩み続け、結論に至ったときの達成感を噛みしめるのが
「よく考えて」になります。
殆どの、ガジェットヲタクと言われる人は、ここに該当するでしょう。
「楽しんで」、最高級のものに手をだしている
私にとって、コスメがこれに当たります。
新商品を手にとった瞬間、心がトキメイて即決で購入を決めます。
無名の画家が書いた絵との出会いで、恋に落ちて買ってしまってた、という話はよくあるようです。
私にとって、コスメは、顔のコンプレックスを補完してくれる大事なツールです。
散々悩み抜いているうちに、色々と詳しくなって、解決できるようになります。
そうすると、純粋な気持ちで、ツール自体が好きになっていくのです。
「楽しんで」の気持ちは、それまでの紆余曲折、つまり「よく考えて」を経て生まれるものなのかもしれません。
先の弘法大師は、「性霊集」という漢詩文集で「良工まずその刀を利くし、能書は必ず好筆を用う」と言葉を残しているとのことです。
つまり、仕事できる人は、仕事道具の手入れを念入りに行い、良い仕事をする人は、良い道具を使うという意味です。
よい仕事を目指して、悩み、その中で出会った道具により救われ、道具からパッションを受けていく・・・。
なんて素敵なことでしょう。
弘法大師も人生かけて、書にすべてを掛けました。そこには、ずっと筆が傍らに寄り添っていたんでしょうね。
私達も、どんどん道具を選んで、最高の相棒を探す旅をしたっていいと思いました。