お皿洗いと経理

領収書整理って、なぜあんなに面倒くさい？

個人事業主や、小さな会社で一人バックオフィスをやっていると、だれもが沸き起こる感情です。

仕事だし、確定申告するからやるけど、やらないで済むなら、やりたくない！

わたしでさえ、なんとかならんか？と思うわけです。

すると、この感情、どこかで同じように沸き起こるときがあります。

そう、まるで、美味しい食事をした後の、お皿洗いに似ているのです。

メリットを上げてみたら、経理も皿洗いも同じだった

経理・会計のプロと言われてから十数年。

なぜ、これほど生産性がないと思われる経理の仕事を続けられたのかと思うと、

次のような環境だったからだと気づきました。

＜経理現場にて＞

• チームで経理タスクルーティンを回していた
• 仕事をしながら、部署内でおしゃべりができた（はけ口があった）
• 責任をとる部長がいた
• 現場と交渉してくれる部長だった
• 帳簿チェックでピッタリ合うと、爽快感がたまらない
• 経理のために協力してくれる現場が愛おしくなる
• 自分たちの屍を超えて、経営者たちが未来を語れるようになる
• 規則正しい生活
• 規則正しい飲茶タイム
• 会計監査で会計士と話ができる

＜会計事務所にて＞

• ひたすら量をこなしてくると要領を得てくる
• たまに、上長から怒号を浴びせられることもあるが、基本、所長は穏やか
• 税法も勉強できて、世の中の均衡性を肌で感じた
• 毎月、社長と話していると、面白い人生句を聞くことができる
• とにかく、困った時連絡いただけるのが、何より嬉しい
• 税務上のスキームが決まって喜ばれると、勉強したかいがあったと嬉しい
• バシッと決算書と申告書が決まると、なにより爽快感＋所長に褒められる
• 税務調査で、調査官と世間話ができる

などなど

デメリットも多くありますが、大変ななか、普段味わえない緊張感があって面白い仕事でした。

おそらく、普通なら領収書を整理して、出納帳に記帳するだけなら味わえないものです。

家事に例えると、こんな感じでしょうか。

• 食べ残しを見て、家族の体調がわかる
• お気に入りの食器洗剤にこだわることができる
• 台所を居心地のいい場所にすべく、お気に入りのグッズのみ並べる
• 洗って食器を仕舞ったあとの、シンクの輝きに爽快感を得る
• 食器を洗うことで、家族としての役割を果たせる

などなど

どちらも、面倒くさい仕事と言われていますが、地味に縁の下のチカラ持ちとして、やりがいがある仕事でもあるのです。

家事と経理の効率化も似ている

でも、手間がかかる仕事ということは、変わりない家事と経理。

その仕事を継続させていくと、どんどんと効率化していきます。

例えば、皿洗いなら

• 洗う前に予洗いする
• 洗う順番を決める
• 先に洗剤でまとめて洗ってから、まとめてすすぐ
• 洗ったあと、食器の積み重ねに水が切りやすいように工夫する
• 食器かごから棚にしまう動線を、効率良いものに変える
• ガジェット（スポンジ、洗剤、ふきんなど）にこだわる

などなど、他にももっとあると思います。

 

経理も同じです。

• 領収書の保管場所、処理をするとき、場所を変えることで進捗状況を把握する
• 毎日入力することで、1日の負荷を軽くする
• いきなり、難しい会計ソフトをいじらず、スプレットシートやNotionを噛まして、入力作業のハードルを低くする
• 領収書をまとめて入力する際、同じ科目でまとめてから、入力すると科目入力が楽になる
• ショートカットキーを使うことで、入力を高速化できる
• スマホでスキャナ→会計ソフトへと、デジタル化で効率化できる

などなど、作業の効率化を図ることで、負担を軽減することがいくらでもできます。

お皿を片付けた後の未来、経理したあとの未来

メリットも、効率化も、まったく同じような考え方な、お皿洗いと経理。

実は、仕事したあとの未来に与える影響も、全く同じです。

それは、次の仕事に取り掛かりやすくなり、いいパフォーマンスが上がるというものです。

きれいに台所を片付けると、翌日の食事の準備が取り掛かりやすくなり、

時短で食事までの準備をこなせるようになります。

時間が短かくなるだけではなく、どんな食事にするか、メニューづくりに時間とエネルギーを投下することで、より質の良い食事ができるようになります。

もし、シンクに昨日の食事の後が残っていたら、まず片付けないといけません。

それも省略するとなると、残った食器で食べられる食事を考えるようになり、栄養価にも影響を与えかねません。

経理もいっしょです。

個人事業主なら、2月3月のほとんどを、確定申告に時間を費やしてしまい、営業できず売上に貢献できなくなってしまいます。

もし、毎日、あるいは定期的に経理で領収書を処理しておけば、お正月にすべて完了し、2月にのんびり温泉旅行に行けたりするのです。

旅行行ってリフレッシュすれば、新しい商売のねたの一つも思いつくかもしれません。

また、小さな会社の場合、月の早い段階で月次試算表が上がることで、経費漏れや売上金の回収漏れに気づくことができたケースは、何回も見てきました。

経理や会計がしっかりしていることで、思っている以上の効果が上がり、ワンステージアップの経営ができる世界線に行き着きます。

 

一見、めんどくさくて、非生産な仕事に見える、お皿洗いと経理。

でも、こまめにすることで、得られる効果は想像以上によいわけです。

 

それでも、経理は面倒くさい。

もし、そうであれば、そこは外注に出しましょう。

家事代行を雇うように、経理代行、記帳代行のサービスに課金するのです。

下手すれば、料理も代行して、食器は燃えるゴミに出すこともありです。

ウーバーイーツ、外食産業があるように、バックオフィスの代行サービスを利用することで、

苦手なことを手放すのもありです。

その代わり、でてきた結果を受け止めて、次なる戦略を考える時間を作っていただきたいです。

 

面倒くさい作業は、極力、効率化を。

できた時間で、未来のために時間とエネルギーを投資を。

お皿洗いと経理は、ルーティン業務です。

辛い思いをせずに、取り掛かるには、歯磨きをするような感覚でこなしてしまうのも手です。

地道な非生産的な仕事から、未来が生まれる体験をぜひ。