業務効率化、DX化、AI導入……。
じつは、魔法の呪文に見えて、地雷を生むケースもあります。
意気揚々と取り組み始めた業務効率化。なのに、なかなかうまくいかなくて頓挫したケースから、中に潜むものを洗い出してみました。
会計事務所での効率化「製販分離」とは
今回は、会計事務所(特定の事務所ではありません)のケースから、業務効率がうまくいかなかった原因を振り返ってみました。
会計事務所の効率化でまず、挙げられるのが「製販分離」でした。
(これ自体、AI時代にそぐわなくなってきましたが)
これは、製造と販売を人でわけて、効率化を図るものです。
会計事務所での製造は、
- 記帳代行
- 月次試算表作成
- 決算
- 確定申告
があげられます。
そして、販売とは、
- 月次巡回
- 税金対策コンサルティング
- 経営相談
といったものをさします。
この従来の税理士業と、あらたな相談業務を人でわけることで、顧客に両方のサービスを提供できるという理論から生まれています。
じっさいに、このビジネスモデルでうまくいったケースもあります。
しかし、それを真似しようとして、わが事務所でも業務効率を図ろうとしたら、失敗に終わって、それぞれに負荷がかかるだけの、負の遺産に成りかねないケースもあったのです。
このうまく行く・行かないの分かれ目は一体なんだったのでしょうか。
私は、トップ(税理士先生)から伺うこともあり、自分自身がボトマー(入力担当者・製造者)の立場にいたこともあり、両方の視点を持つ身として、ひとつの答えが出せるのではと思ったのです。
それぞれの立場で言語化できないもの
まず、事務所内で業務効率化を思いつくのは一体だれか……。
実は、それぞれの立場の人が心のなかでうごめいているのが「業務効率化」なのです。
そして、それがなかなか実現できない現実に疲弊して、不満から無気力へ陥っていくきっかけも、この「業務効率化」なのです。
このモチベーション低下が起きやすいのがボトマーで、なんとか前に進みたいとおもうのが、トップ(ここでは税理士先生)です。
ゆえに、業務効率化を思いつき、実行に移すのがトップの人だけにように見えるのです。

見える道路と隠れた道路の共存 東京日本橋付近にて
この、見える部分と見えない部分が共存しているのに、そう見えてこない。
このために、ボトマーの本心が見えにくくしている原因であり、業務効率化という大工事でのボーリングがまとはずれになってしまうのも、そのためであります。
業務効率化のために、ヒヤリングするとき、トップである税理士先生の発言がいかに正しいか。一見そう見えても、周囲の職員がなかなかついていけない現象が起こるのは、ここに原因があります。
業務効率化をすすめたいと思ったきっかけがなんだったのか。
トップによる視点だけではなく、ボトマーから見上げた組織での課題を言語化することから、トップが抱く違和感を解きほぐしていきます。
これが、業務効率化にむけてのヒヤリング(集団カウンセリング)で、勘違い業務効率化を防ぐ唯一の入口とも言えるのです。
ボトマーによる効率化で組織が生き返るケース
私はかつて、入力担当者でした。
そして、巡回担当になるまで会計業界におり、今は小さいながら、NPO法人の理事として、組織での業務効率化を進める立場にいます。
つまり、組織内でのいろんなスタンスの経験があり、その時その時の恨みつらみも忘れていない怨念深いニンゲンということになります。
そんな私が思う、確実に業務効率化を成功させるルートとは。
「ボトムアップ、自己再生能力を全員が身につける」
です。
仕事の入口を簡単にする
まず第一に考えるのが、自分たちの業務効率ではなく、顧問先とのパイプをラクにすることです。
つまり、巡回担当者や入力担当者といった、製造部分をスムーズに進めます。
この部分で一番不満がたまりやすいのが、入力担当者です。
直接顧客とやりとりすることなく、いつも外出している巡回担当者を捕まえるだけでも、一日がすぎるなんてザラにあります。
投げた質問の回答も帰ってこなければ、一瞬にして業務はストップして、やってくる締め切りに業を煮やすという、このどこにもぶつけられない障害をトップに相談しても、すぐには解決できないという悪循環が生まれています。
もちろん、トップも同じ不満を抱えています。
なかなか上がってこない申告書。顧問先からの資料回収がうまくいっていない様子だが、なかなか相談しにこない。
こういったフラストレーションの第一歩は、製造現場の入口にあるのです。
ここでの業務効率ネタは、トップが思い図るより、実際に苦労しているボトマーが一番知っています。
この仕事の入口がスムーズになれば、トップにとって一番知りたい業務進捗度は手に取れるように見えてきます。
まるで、詰まった配管の出口を解放したら、上手く排水できるように。
一人ひとりのつぶやきを見える化
つぶやきとは、相手に伝えるつもりがなくてもつい、漏れてくる言葉のことを言います。
業務していると、いろんなつぶやきがでてきます。
不平不満は、業務遂行に無理があるときに生まれるもの。
そこを拾い上げていけば、なぜ滞っているのかわかってきます。
ここで禁句にしたいのが、「なんでそんな簡単なことでつまづく?」です。
業務の入口で困っていることがあれば、それは顧問先でも困っていることが大半です。
そこを解決できれば、双方にとってメリットしかありません。
それを見つけるための、業務進捗チェックなのです。
スムーズに進めるには、より早い段階での障壁を取り除きます。そのための、ボールを持って仕事する人の状況を知るのです。
見えないところからではなく、見えている人が地盤を固める
このような組織での壁は、一番肌で感じているのは、トップではなくボトマーです。
まずは、この直接顧客と接しているところで働く人の視点での業務改善こそ、上手く成功するポイントでもあります。
しかし、このやり方は、今まで取り入れてこなかった組織では上手くできません。
- 自分たちの悩みを言語化できる人がボトマーにいるのか。
- 耳にいれて痛いことを、全身で受け取れるトップなのか。
この2つが揃わないと難しいです。ゆえに、組織内の業務改善の成功率が低いと言われているのです。
まず、私がやっていること。
それは、一人のボトマーが勝手に業務改善を始めてしまう方法です。
この極小スモールスタートに向いているのが、Notionでした。
本来のシステム構築は、全体像を設計してからボトムダウンする方法がとられています。
でも、それは、本当の上手くいかない原因をすべて言語化し、図解で設計できてこそのやり方です。これができるのは、全体の数%と言っていいでしょう。
実行部隊で動く人が、自発的にやっている効率化を引き上げる方式こそ、その組織にあった業務効率に育てられるのです。
私の場合、実際に働く場所に訪問して、現場で働く方々のスキルや環境をチェックするのは、このためです。
旗を振っても、なかなか下の者が動いてくれない。
そんな悩み。もしかしたら、現状を見えていないだけかもしれません。
=編集後記=
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