※四季報オンライン より
投資家は、財務諸表を読んで、どの会社に投資するかを決めたりします。
では、経営者である社長は、自分の会社の状況をどのように把握するのでしょうか。
中小企業の場合、社長の「勘」がだいたい合っていることが多いです。
しかし、大きな借り入れをしたり、事業を拡大収縮する際の決断を、間違えてしまうケースが散見します。
いつもの通常運転なら「勘」が働きますが、イレギュラーなことが起こると、社長の頭の中にあるデータベースにない情報が発生するため、判断を誤ってしまうのです。
会社の規模に関係なく、どの経営者も自社の「数字」をしっかり読み取ることが必要です。
特にこれからの時代、外的要因によるイレギュラーなことがたくさん出てくることが予想されます。
では、経営者は何を見ていけばいいのでしょうか。
財務状況がどうなっているのか
これは、「貸借対照表」のことです。
会計事務所に勤務していた頃は、顧客に提出する財務諸表が正しいかどうか、チェックする際、現金預金や売掛金、買掛金などの勘定科目の残高を照合していました。
もし、この残高が合っていないと、この後に見る帳票の数字が正しくない、ということになるのです。
社長の場合、現預金が増えているか。売掛金で未回収の債権がないか。買掛金がきちんと支払されているか。返済が滞っていないか。
このような短期的な推移を確認すると同時に、
自己資本率が適正か。繰越剰余金の推移がどうなっているのか。など
自社の財政が適正かどうか、よく知っておく必要があります。
イレギュラーな事象で、判断を誤る経営者は、往々にして、この「貸借対照表」を読み込んでいない場合が多いようです。そして、この「貸借対照表」を読み込める人は、経営者である社長でしかいないのです。
仕事が上手くまわっているか
これは、「損益計算書」です。
一般的な経営者は、この「損益計算書」を見るのが好きです。理由は、自分たちの動きと連結していると思っているからでしょう。
ここでは、仕事の仕方が適正かどうか、判断します。
原価率、粗利が適正か。営業利益が残っているか。固定費が多すぎていないか。人件費比率も多すぎていないか、少なすぎないか。など
もし、自社の事業が複数あって、それぞれに責任者がいる規模の会社であれば、各事業の担当者が分析できる帳票になります。
もし、「損益計算書」で、経営分析を行う場合、荒い数字でも構わないので、なるべく早く、数字を上げるべきです。それにより、改善点があるときは、より早く手をうつことができて、同業他社を出し抜くことができます。
お金が上手く回っているか
これは、「キャッシュフロー計算書」です。
資金繰り表とも言われています。
この帳票を大切にしている経営者は、きちんと会社を存続させることができます。
売掛金の入金サイト、納税のタイミング、大きな支払で資金が足りているか。銀行からの借り入れをしたほうがいいのか(自己資本比率と見比べながら検討)
などなど。
このように、自社の数字を時間を決めて、読み込むことをしている経営者は、未来に起こりうることを予測できたり、次の手を考えたり、実行に移せたり、新しいことに行動を起こす傾向があります。
しかし、昔ながらの「勘」を頼りに経営している社長は、上手くいかない理由を外的要因のせいにしてしまうようです。
一見難しいように見える「財務諸表」ですが、見方を知れば、数字は「味方」になってくれます。
これからの厳しい時代、しっかりと数字を読むことをオススメします。
今回、私は、数字の苦手な経営者向けにKindle本を発行しました。
財務諸表とにらめっこする前に、まずは帳票の構造や意味を知ることを目的にしています。
よかったら、読んでみていただければ。