私たち専門家に見える経費と家事費の間に流れている太い川。しかし、見えない人もいるようです。
確定申告の時期です。
事業所得の申告を行う人にとって、「経費」と「家事費」の線引きに困っているようです。
どこまでが経費で、どこからが家事費なのでしょうか。
この説明は、専門家である税理士の先生方が、丁寧にされています。
そちらを参考にしていただければと思いますが、
私は、個人事業主から法人成りした社長に、よく見られるケースをもとに、
気を付ける点を挙げて参ります。
中小企業の社長の財布が分厚い訳
会計事務所に勤めていた頃、よく中小企業の社長の財布を見かける機会がありました。
大体、長財布で、お札が多めに入れている人が多かったです。
雇われ職業人や、家庭の主婦の場合、どちらかというと、レシートの束で、
財布を厚くしている傾向がありますが、
中小企業の社長は、現金を肌身離さず、持ち歩くのです。
理由は、あります。
それは、会社のお金は、自分のお金であるからです。
中小企業は、代表取締役である社長が、資本金の多くを拠出しており、
そのため、会社の資金は、自分のものである感覚が拭いきれないのです。
本来、会社と社長は別人です。
会社のお金は、誰のものでもなく、法人格を持っている会社が保有しています。
そして、社長は、役員報酬という経費で、報酬が支払われ、それに対して所得税という税金がかけられているのです。
しかし、中小企業の社長の多くは、その事実を建前と捉え、会社の口座や金庫にある資金は、自分の分身として、認識してしまうのです。
これは、法令に則していない考えであり、改める必要があります。
個人事業主からの脱却がうまくいかなかった例
法人成りの際、事業主時代の事業資金は、すべて個人のお金になります。
そして、法人名義の口座に資本金を振り込み、それを元手に事業を行います。
この時、潤沢に資金があって、個人名義の通帳も、事業としてすべて切り離していれば、
先ほどの、認識の誤謬は起こりません。
しかし、そう入っても、経費の引き落としの切り替えが忘れられていたり、
得意先に、振込先の変更の連絡に行き違いが生じて、間違えて入金されたり、
また、社長自身が、いつもの癖で、お金を混ぜてしまったり、
さまざまな「ちゃんぽん」が続いてしまうと、社長の認識は、いつまでも「個人事業主」から、脱却することができません。
この、設立初期に、お金が混ざってしまうことで、社長は、お金の上で、会社の社長になれずにいるのです。
不思議と、お金と思考はリンクしています。
お金のちゃんぽんは、思考が生活と事業が混ざっていることを示しています。
ゆえに、お金が混ざっていると、仕事と生活の区別もつかなくなるのです。
ツボの中に、生活のお金と事業資金が混ざっているため、ツボごと持ち歩くようなものなのです。
会社と生活の分離はお金から
会計の専門家は、この場合、どうするのか、お教えします。
もし、設立当初から関与している場合、生活費と事業費の通帳を、厳密に分けるようにします。
また、設立してしばらく経過している場合でも、気づいた時からすぐに分けるよう、お伝えしています。
お金が混ざっているリスクが、どれほど怖いか、脅すわけではありませんが、
実際に、困ってしまった例をお伝えして、改善していただくようにしていました。
このお金を分ける作業は、社長にとって、自分の手足をもぎ取られるような感覚になるようです。
しかし、ここは、厳しい態度で、甘えを許さない態度で対応します。
最初は、苦しいのですが、実際に綺麗に分けてみると、意外と気が楽になるようです。
生活と仕事のお金を分けることで、頭の中がクリアにな理、仕事する上で、足を引っ張る生活の部分を切り離すことができるのです。
パソコンを例にとると、
「一台のMacBookにmacOSとWindowsOSを載せて使っていたけど、
MacBookとWindows PCの2台体制にして、OSを分けたら、パソコンの性能が上がった」
といったところでしょうか。
個人事業主の方が、家事費と経費の分別に、判断が迷ったとき、
自分が会社の社長になったら、どうするか、という視点で見てみると、
意外にも答えが出てくるかもしれません。
生活の中での仕事から、仕事のための空間を明確にすることで、
わかりやすくなります。
来年の確定申告のために、今から準備しておくことをおすすめします。
=編集後記=
【昨日のできごと】
自宅で、オンライン業務をしながら、その合間はオフ。
じっくりと休みました。
かずこのお気に入り
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今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
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