効率化が進まなかった経理の現場にAIを取り入れる手順

AIの進化は目覚ましいです。

いままで、システムを組む専門家が作ったツールでないと、AIによる業務効率化の恩恵を受けるのは難しかったもの。

でも、2025年6月の現在、Googleの進歩により、AIを利用したアプリを自作できるようになり、専門家の手を使わなくてもすむ時代になりました。

こうなると、ちょっと油断した隙に、業務フローにどんどんAIアプリが浸透していきます。

でも、気をつけたいことが、ひとつ。

何から何まで、すべて自作アプリに置き換えないように。

特に、今までITやDXによる効率化を進められなかった経理現場の場合、要注意です。

効率化がなかなか進まなかった現場でのAI導入ポイントを考えてみました。

AIができることは何か

まず、AIができることを知りましょう。

その時その時、適しているAIがコロコロと変わる時代です。

AIならこれ！と断言できるとわかりやすいのですが、そうも行かないのが今なのです。

もし、AIに触ったことがないなら、まずはChatGPT、またはGoogleのGemini（ジェミナイ）に色々と質問してみます。

基本、人は、困ったことがあると誰かに質問したくなる生き物です。

今現在、自分が抱えている問題をAIに投げかけてみます。

これは、AIが人間の問いかけ（プロンプト）に対して、どう作動するのか、チェックします。

私の場合、何から手をつけたらいいのかわからないときは、ChatGPT。

Googleドキュメントやスプレッドシートを使ったタスクについては、Geminiを利用しています。

また、MicrosoftのExcel数式を調べるのも、ChatGPTです。

まずは、Excelの計算式を教えてもらい、作業効率を上げつつ、完成させるまでの時間が短いことに肌で感じます。

これで、AIを使えば業務効率が進むことがわかるようになります。

 

次にやることは、PDFデータの帳票をAIに食わせてスプレッドシートに出力させてみます。

私は、ネットバンキングの入出金明細やクレジットカード明細を、CSVファイルに変換するのに、Geminiを利用しています。

そのファイルを会計ソフトにインポートすれば、仕訳登録が完了します。

 

このように、ちょっと前のAIができることは、

• 人間の「わからない」に、解決口を提案
• 紙ベースの情報をデータ化

そして、今は、疎明資料から仕訳データを生成させるところまでできるようになりました。

AIは、人間から振られたものを、ネット上にある情報から再構築して、欲しがるような形に整えてくれるのです。

経理業務でのめんどくさいを分解する

経理業務で、めんどくさいと思う作業を洗い出してみます。

私の場合、次のとおりです。

• クレジットカード明細からの仕訳登録
• レシートの仕訳登録
• 現場と経営者とのコミュニケーション。特に締め切りを守らない人への催促
• パラパラと五月雨式にやってくる要望の対応

特に、最後の五月雨式にやってくる依頼は辛いものがあります。

では、これを分解してみます。

大きくタイプに分けると

• 紙ベースの情報のデータ化
• コミュニケーションの交通整理

になります。

そこに、業務効率ができるネタが仕込まれているわけです。

例えば、この場合だと

• 紙をPDF→情報の抽出→CSVファイル
• 経理への要望を受け付け→タスク化→各担当への落とし込み→現場等へのフィードバック→経理担当者の日報へ反映

という仕組み化ができれば、めんどくさいから効率アップに変身するのです。

ここまできたら、最後に仕事の流れを組み直す段階に入ります。

専用ソフトと人の間に立つAI

さて、今のAIは、会計業務の場合、仕訳まで生成し、下手したら、決算書や申告書まで組み上げてしまうポテンシャルを持っています。

自作アプリを走らせるコードもAIが書いてくれます。

ということは、今使っているソフトを解約して、全部AIで済ませることも可能なわけです。

でも、ここで歯止めをかけておくことが、何よりも大事です。

考えてみてください。ちょっとネット上の仕様変更があったら、自分で修正できますか？

あくまで、私たち経理の本業は、経営を管理して、数値を公表することです。本業をしながら、業務改善の一環で、AIを導入するのが最適解です。

そのためには、全体の業務フローをデッサン・設計をします。

よく、プロダクトマネージャーなどが作るフローチャート図をいきなり書く必要はありません。

A3コピー用紙に、鉛筆でざっくり書いたものでも十分です。
（清書は、AIにお願いすればいいわけで……）

あくまでも、かつてめんどくさいと思っていた業務をAIに代替してもらうようにします。

私は、仕訳生成は、専門ツールである会計ソフトにお願いすればいいと考えています。

現場と経営者などのコミュニケーションから、タスクが生成されるのは、ひとつハブとなるツールを設置するといいでしょう。

私は、NotionとSlackを活用しています。

Notionの良さは、業務に集中しやすい環境をデスクトップで構築できる点です。ブロックでツールを組み上げるので、あちらこちらと目線が散見せずにすみます。

Googleの良さは、それなりに負荷のかかる業務をさせても、耐えられる点です。しかし、ファイルやフォルダの管理をする必要があり、その手間がめんどくさい業務になりやすいことです。

両者のいい所どりでも良し。それぞれのAIを駆使するのも良し。

大切なことは、どのツールが良い悪いではなく、めんどくさい現状を改善するために、AIを使ってみようという第一歩を出すことです。

経営者の方は、1日でも早く、正しい数値を出せる環境づくりにAIを取り入れてみようと率先垂範でアクションしてみてください。

あと、追記ですが、現場の方に経理の流れを説明する動画作成もAIでできたりします。

文字を並べるよりは、AI（Napkin AI）に食わせて図解を生成させてみてもいいでしょう。

いきなり、業務に取り入れなくても、AIを活用する場面はたくさんあります。

ぜひ、チャレンジしていただければ。