いろんなところで、あまり好かれない経理業務。
なぜ、あまり好かれないのでしょうか。
それは、訓練が必要だからです。
経理業務に苦手意識をなくすなら、実はタイピングを極めるところから始めるといいかもしれません。
はじめはタイプライターでのタイピングから始まった
今日は、私の母との話をしようと思います。
彼女の歴史は、まさに女性事務職の歴史を語るのに、ピッタリです。
戦後、高校を卒業し、とある会社の事務職として就職した母は、非常に真面目な性格もあり、事務仕事のスキルをあげるべく努力を重ねた人でした。
子どもからみた母は、正直、事務能力が高いとは思えないキャラクターです。
そんな母が、一人の女性として時代を生き抜くために、いろんな訓練をしてきました。
振り返ってみると、実は事務能力は訓練でなんとでも良くなることを立証できるのかもしれないと思えて仕方がないのです。
子供時代、母から見せてもらった事務能力向上訓練の形跡は、今思うと非常に参考になるものです。
① 速記術
今はありませんが、以前、国会議事堂の議場の中心に、速記者のエリアがありました。
議事進行で発した言葉を、一つも漏らさず、独特の文字で記録していく速記術は、訓練を重ねた人の専門技術でもありました。
母から見せてもらった速記の教科書は、ミミズのような線が所狭しと印刷されており、実際に速記術を見せる母は、いつもの母とは違った
「なんか、すごい人」に見えたのを思い出します。
その後、速記術は廃れ、音声による録音による書き起こしを経て、今ではAIで文字起こしをしてもらうようになりました。
② 英文字のタイピング
もし、彼女が結婚して転勤でアメリカに行かなかったら、おそらく、和文タイプライターの練習をしていたにちがいありません。
でも、社会人経験が長くなかった母は、結婚後の海外転勤で現地のスクールに通い、英会話と英字タイピングのトレーニングを受けました。
私が生まれたのは、それから十数年たっていました。当時、アメリカで購入した英文タイプライターが母の部屋に大事に置かれており、ケースを開けるとインクリボンの匂いが広がってワクワクしたのを思い出します。
小学生だった私は、その頃からガジェット好きだったらしく、その英文タイプライターで遊びたいと駄々をこねていました。
「なら、このテキストで練習しなさい。クリアしたら、好きなだけ使っていい」
そう条件を出された私は、ネイティブの人が使うテキストを見ながら、タイピング練習を始めました。
そして、クリアすると、小学生ながらブラインドタッチができるようになり、ついでに母に直接英語を習うようになりました。
英語は、身につかなかったけど、なぜかタイピングは筋肉が覚えていたこともあり、その後のパソコン人生で大いに役に立っています。
「脳みそは筋肉である」
これは、その後私の格言になるのですが、その原体験が英文タイピングだったのです。
③ シャープのワードプロセッサー「書院」でのタイピング
中学生になると、日本メーカーシャープが出した和文ワードプロセッサー「書院」が、家庭でも購入できる金額で販売されるようになりました。
もれなく母もしっかり購入し、子育てがそろそろ終わろうとする中、大学に入り直して論文を執筆するようになりました。
当時は、ひらがな入力が主流でしたが、英文タイピングに慣れている母は、ローマ字入力でひたすら原稿を書いていきます。
私が社会人になると、職場に複数の「書院」が常備される時代で、新人なのにワードプロセッサーを使いこなせていたこともあり、パソコンで一太郎や花子(当時日本で多く使われていたWordやExcelのようなソフト)を使わせてもらうことも増えました。
今なら「寿司打」でタイピング練習
今の時代、スマートフォンの親指シフトなど、いろんな文字入力方法があります。
でも、パソコンで仕事をするとなると、タイピング、特にブラインドタッチができないと効率よく仕事をすることができません。
私の時代、仕事をしながらパソコンを覚えるのが当たり前でした。
その中で、事務仕事をする人は独学でブラインドタッチを覚えていったものです。
今なら、ネットで「寿司打」が有名です。
ゲーム感覚で楽しみながらタイピングを覚えるので、私も子どもたちに小学生の頃からやらせていたものです。
でも、英文タイプライターの教本で覚えた私は、タイピングの基本をしっかり身についた自負があります。
タイピング技術で、記帳代行は誰にも負けなかった
私のキャラクター的に、実は経理は向いていないことを白状します。
でも、このタイピングスキルのお陰で、会計ソフトのショートカットを早く覚えることができました。
ブラインドタッチで原資資料とモニターだけ見て、数字の形が同じように入力ができているか、目と指の感覚で間違い入力に反応するようにしています。
このように、数字も記憶するのではなく、指や腕の筋肉で覚えていきます。
目に入った数字は脳を経由せず、即キーボードに置かれた指を通して、どんどん外部記憶装置であるパソコンのソフトに入力していきます。
いちいち覚えてなんていません。
これができるのは、タイピング技術のおかげです。
そして、出来上がった財務諸表を眺めて、数字の桁数や形から財務状況を把握します。
実は、私は一度も数字を読んでいないまま、経理や事務仕事をやっているのです。
そう思うと、母があれこれチャレンジしてくれて、それを惜しみなく娘に教えてくれたことに、感謝しています。
今更ですが、正直苦手だった母に素直になった50代半ばの娘になれたように思います。
実は、このタイピングは、数字だけではなく、文章を書くのに大いに役に立っています。
数字より、文字の認識が苦手なのかもしれません。
誤字脱字に気が付かず、そのまま打ち進めてしまうので、そういう意味で、私は数字が得意なのかもしれません。
もし、ご自身の事務能力や経理能力に苦手意識があるならば、ぜひ、タイピングを極めてみてください。
事務とは、身体を使った仕事です。作業です。
事務筋肉を鍛えることで、仕事になれていき、いちいち脳で判断しなくても反射神経で処理することができます。
これが、経理や事務のプロであると言えるのかもしれません。
AI時代での事務能力の高め方
実は、今、パソコンで音声入力をする時代になりつつあります。
映画スター・トレックは未来の世界を描いています。
宇宙船をコントロールするコンピューターは、iPadのようなデバイスで、指示は音声です。
そして今、現実にそうなりつつあります。
もう、キーボードがついているパソコン、ノートパソコンの存在が化石になるのが目に見えています。
そして、なんといってもAI。
今ではパソコンでの利用が主流ですが、時代はタブレットのようなものに音声で指示し、指の代わりにAIがあれこれ動いてくれる未来がきます。
そうなると、経理事務や事務仕事がなくなっているかもしれません。
とはいえ、今は過渡期です。
まだ不完全なAIに、すべてを託すのは時期尚早でしょう。
やはり、まずはタイピング技術を身につけるところから、身体に備わっている筋肉に刺激を与えて行きましょう。
プログラミングを知っているエンジニアなら、ブラインドタッチでコードが書けるからこそ、AIを駆使することができます。
経理や事務でも、ブラインドタッチで数字や文字の入力ができるからこそ、業務のプロにいち早くなることができ、AIとの共存に思慮深く進めていくことができるのです。
たかがタイピング、されどタイピング。
AIの使い方とともに、とりあえず、タイピング技術も極めるのが、今の事務職、経理職の能力向上方法なのです。
=編集後記=
【昨日のできごと】
1日、在宅の業務。目がショボショボしてきました。
愛用の目薬は、「ソフトサンティア」
モニターを凝視することで瞬きが少なく、ドライアイになります。
ポモドーロ・テクニックの休憩時に目薬をさすようにしています。
かずこのお気に入り
日常の中で見つけたお気に入りを、NotionページにUPしています。
今、 町中華のかた焼きそばにハマっています。
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