これから、ショパンコンクールのファイナルが始まります。
ピアノを弾いていた身として、予備予選からじっくりとYouTubeで配信されているので、現地の臨場感を味わうことができます。
ひたすらショパンを聴き続けるので、正直飽きてくるのですが、配信中の休憩時間に、各関係者の対談を間に挟んでもらえるので、より、コンクールを楽しめるよう工夫されています。
ある日、その対談で、各社ピアノ調律師が出てきました。そこに2人の日本人が出演され、英語でインタビューの受け答えをされていました。
コンクールに提供されているのは、
Steinway&Sons、YAMAHA、KAWAI、Fazioli
の4メーカーのピアノです。そのYAMAHAとKAWAI、そしFazioliの調律師がインタビューに出ていたので、食い入るように見ました。
堂々と、自分の腕だけで世界と渡り合えるその姿が、私が思う本当の事業の成功者であるように見えました。単なる金儲けではなく、求められる技術を、適正に評価受ける姿は、真の成功ではないでしょうか。
そして、その真の成功を得たものは、いかなる事態が起きても、絶対に揺るぎないのではないかとおもうのです。
ピアノ調律師の戦い
コンクールは、最初にピアノ選びから始まります。
出場者は、まず、どのピアノで戦うか選択します。
ここで、ピアノメーカーと調律師の腕をいかに認めてもらえるか、テクニカルの技術が問われるのです。ここで、選ばれて、そのピアニストが優勝すれば、テクニカルの技術も世界に認められるのです。
Steinway&Sonsは、歴史のあるアメリカのピアノメーカーで、最高品質を維持し、各コンクールや演奏会で使用されるピアノです。そう、泣く子も黙るスタインウェイです。確かな信頼と技術力がブランド化されています。
そこに、新参者である日本のYAMAHAとKAWAI、そして創業1981年と新しいイタリアのピアノメーカーのFazioliが、戦いを挑みます。
ピアノは、ただ、正しい音が鳴ればいいのではありません。
会場となるホールの構造、音の響き、音質、キータッチ、などなど、数え切れない条件をクリアさせなければならないのです。そして、コンクール出場者からの信頼がなければ、そのピアノは選択されないのです。
最高の音楽を作るために、世にすばらしい音楽を出すために調律師たちは、威信をかけて、ピアノに向き合って音を組み立てていくのです。
自分の技術で勝負できているか
ピアノを製作する技術も然り、現地で調整する調律師の存在は、ピアニストにとっても、腕の一部といっても過言ではありません。
彼らの姿を、自分に置き換えてみると、自分の技術力がどれだけ求められているのだろうかと、考えます。
お客様の希望にひたすら沿うことが正しいのか。
お客様の知らない新しい価値を提供して、よりよいものを得ていただくことが正しいのか。
それは、技術を持っているものがおのずと答えを持っています。
そして、お客様の要求が、技術力を高めていく。
この良いループを得られたものが、真の技術力を得ていくのです。
サービスや技術力を通じて生きる意義を提供する
コンクール出場者も、有能な調律師によって調律されたピアノで、思い以上の音や音楽を奏でることができたら、これ以上に得難い感動を得ることができます。
技術やサービスを提供するものと、それを受け取るもの。
互いに、良い循環を起こせる関係を得られたものが、真の成功を掴み取れるのだと、先のショパンコンクールでの調律師たちの姿から、見ることができました。
高品質な技術とサービスの行き着くものは、「生きる」というシンプルなことだと思いました。
コンクールの演奏を見て、聴いて、私の中に残るものは、まさにこの「生きよう」だったからです。
真摯に、真の「生きる」を大事にして仕事をしていれば、必ず「生きよう」とする人たちに評価を得、結果的に求められ、つまりそれが金銭で現れてくると思っています。
簡単に儲けた利益は、ハリボテのように崩れやすいですが、真の求められた技術やサービスによる利益は、簡単に崩れることはない理由が、ここにあるのです。
そんなショパンコンクール、5年に一度の華麗なる戦いを、今では誰もがスマホで見れる時代になりました。
感動の音楽の誕生を、この目でみる秋の夜長を、満喫してみてはいかがでしょうか。