経理は、経営の「めんどくさい」を改善するために、過去何百年も創意工夫を繰り返してきました。
それも、どの時代も、目先の作業の手間よりも、集計分析を効率よく行うために、変えてきた歴史があります。
そのため、独自の文化が生まれました。
パッと見ただけでは理解できない簿記の考え方を、もう一度振り返ってみます。

その先の景色を見るために、手前でやることを見極めるのが効率化
簿記が生まれたときの話
なぜ、簿記が生まれたのか。
それは、楽して経営し、成功を収めるためです。
記帳は、紀元前から行われていたようです。
そして、今の複式簿記が完成されたのが、600年ほど前のイタリアベニス。そう言われています。
起源については、諸説あるのですが、商人たちは、商いのPDCAを回すために、この簿記を欠かさず運用してきた歴史があります。
そして、ひとりの商人が事業を成功させ、規模を大きく成長させていきました。
これが、商人マルコの話。
それまでは、記帳もせず、惰性で経営する人ばかりだったのですが、このマルコが複式簿記を導入し、年に1回、帳簿を締めて決算することで、会社をどんどん大きくさせ、周辺の商人の中から、頭角を現したという逸話があります。
こうして、物流が広まると同じくして、簿記も広まっていったのです。
手持ち金の増減だけなら、単式簿記で十分です。
そこを、複式簿記にすることで、どういった理由でお金が増えたり減ったりしているのか、記録することができるようになったのです。
こうだったんじゃないか劇場「簿記はめんどくさい」
なぜ、世界中の商人が簿記を取り入れていったのでしょうか。
それは、商いはめんどくさいからです。
ひとりのイタリア商人マルコの事業成功を受け、オレも成功させたいと思う人がポツポツと増えてきました。
現代で言えば、投資に成功した投資家のルーティンを、他の人たちがあやかろうとして、真似し始める。
あれに似ています。
商売は、相手があって成り立ちます。
売上のお金を支払うのに、「あとで纏めてもらいたいんだけど」と言われ、売掛金が生まれたことで、払った払っていないの押し問答が発生します。
これも、現代でもよくみられますよね。
価値提供したのに、お金が支払われていない現状。
600年前。この掛回収で、受取側と支払側に意見の相違が頻発に起こったに違いありません。
そこで、複式簿記を発見し、相手の現状も把握できる仕組みをつくったのです。
これが、当時の効率化です。
自前で相手の売掛を記録することで、余計なトラブルを起こさず、元帳を一目でみれば、いくら回収できていないかをチェックすることができます。
これぞ、取引後のトラブルをなくすための超効率化です。
今となっては、この売掛の把握方法。めんどくさいと思う方が多くなりました。
簿記を扱う人は、徹底した仕訳の訓練をし、資格試験を経て現場で運用できるようになります。
でも、現在では、簿記の勉強をしなくても、経理ができるツールが増えたことで、慣れていない人が仕訳を入力するようになっていきました。
もしかしたら、この売掛金勘定を使うこと自体、非効率と思われているかもしれません。
当時は、超便利な機能が、今ではめんどくさい存在に変わってしまっているのです。
簿記の目的は、「迅速」「正確」「推測」
経理の効率化に視点を移していきます。
経理の目的は、「迅速」に「正しい数字」を集めて、経営の「分析・推測」をすることです。
そして、それを実現させるツールが、簿記なのです。
経理の一番の目的は、「分析・推測」です。
これを実現させるために、「迅速」にデータを集めるためのルールを決めたり、「正確」に集計させるための手間をかけていきます。
実は、会社の規模や経理能力によって、この手間の量が変わるのです。
正しく数字が集められない状況であれば、正しい数字が集まるように、手間をかけることになります。
これを、経理担当者だけが頑張るのか、組織全体で数字があがるようにするのか、経営者の判断になります。
経理めんどくさいからと、間違った効率化をすると、「正確」な数字がいつまでたっても、集まらないようになります。
経理は、めんどくさいものです。
それは、経理担当者、業種や規模、経営者の簿記への理解度によって変わりますが、自分たちのスキルが難しいところは、めんどくさい手間で簿記の目的を果たします。
ここで、手を抜いてしまうと、最後まで正しい数字が、いつまでたっても来ず、間違えた分析と推測をしてしまうのです。
手前入口のところで、めんどくさい作業をするか。
出口の分析・推測のところで、改めて数字を集め直すというめんどくさい作業をするのか。
いずれにせよ、どこかで面倒な作業をしないと目的が達成しません。
簿記はめんどくさい。
これを受け入れて、どの工程でめんどうな作業を取り入れるのか、腹を括るところから、経理の効率化を考えてまいりましょう。
=編集後記=
【昨日のできごと】
京都にいる子どもが、帰省で帰ってきました。
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