「ガキ大将」
連想するのはドラえもんに出てくるジャイアンではないでしょうか。
頭の中に浮かんでくるのは、土管のある空き地で、他の子どもより高い目線で空き地を見渡して、そこにはスネ夫という腰巾着がその下で控えている構図。
一定以上の動きをする子供には構わず、ひとりのんびりしているのび太にちょっかい出します。
「ガキ大将」
いいイメージがありませんね。
でも、実は、ものすごい高い能力を持った越財なのではと思うのです。
いつの時代もガキ大将
学生時代、プールで子供の水泳指導のアルバイトをしていました。
放課後の時間帯に、集まってくる子供たちに、水泳を教える仕事は、いろんな意味で勉強になりました。
一人一人、水に対する抵抗力は異なります。水しぶきだけで顔を背ける子。
躊躇なしに、こちらの注意を無視してプールで遊び出す子…。
一対一ではなく、グループで指導するので子供の特性を見ながら、グループをまとめるのは、とても難儀なことだったのです。
あるグループで、荒い男子がいました。
まあ、言うこと聞かない。聞くわけない(笑)。
飛び抜けてうまいわけではないので、彼の扱いに頭を悩ませていたのです。
ガキ大将の定義
先のジャイアンを思い出すとわかる通り、「ガキ大将」は、他の子供より、周囲をよく見ています。
水泳のコーチといえども、小手先のことを言っているとすぐに見抜きます。そして、大人の言うことを拒絶するように悪戯し始めます。
この拒絶が、一見わがままに見えますが、子供なりのサインなのです。
「ガキ大将」とは、物事を敏感に感じて、それがいいのか悪いのか感じる人です。そして、それがとてもエネルギッシュであることが当てはまります。
ガキ大将の扱い方
そこで、私は考えました。
まず、泳ぐ順番を後ろから一番前にしました。多少遅いけど、次の子供のスタートを遅らせればなんとか列が滞ることはありません。
あと、ヘルパーやビート板などコーチが使いたいものを、こっそりお願いして持ってきてもらいます。
そう、暇を与えないのです。どんどん仕事をお願いするのです。
そうすると、ガキ大将は意気揚々と協力してくれるようになります。そうすると、グループ全体が活気に満ちて、みんなの泳力も向上します。
実は、この方法は、私が小学校3年生の時の担任の先生がやっていた方法です。
確か、その先生は、新任で初めてクラスを受け持ったのですが、それはそれは、子供たちの扱いがものすごく長けていました。
クラスに二人の男子ボスがいました。名前はAとBとしましょう。1学期始業式からすでに、この二人のポジションが定まっておりました。
Aは頭脳派。運動はそんなに得意ではないけど、優れたコミュニケーションスキルと、頭の良さでクラスをまとめあげます。
Bは行動派。スポーツ少年団に入ってエースの活躍をし、もちろん、走るのも早かったです。彼は、クラスのムードを引っ張っていきます。
この二人のコンビネーションが絶妙で、何かことあるごとに二人が教壇にたち、クラス全員で話し合いをするのです。そして、担任の先生は、それを教室の端に座ってニコニコ見ているだけ。
ある日、担任の先生が休みで代わりの先生が来た時の話です。
クラスで勉強が苦手な子がいて、ドリルするのも一苦労していました。
与えられた課題がこなせず、困っていたところ、その代わりの教師が彼に叱責始めたのです。「さっさとやりなさい。ぐずぐずするな」と。
その時、Aが立ち上がって、その教師を止めようとしました。そして、Bとともにクラス全員が、怒られた子を守ろうとしたのです。
いまだにその事件は忘れられません。
「ガキ大将」は、きちんと力を認め、きちんと任務を任せると、自分の周りをよく見て、本当に大きなことを成し遂げます。
結局、その後、どうなったか。ぼんやりと記憶にないのです。ただ、唯一覚えているのは、翌朝、担任の先生が誰にも叱らなかったことです。組織の一人として、代行の先生を攻めることもできない。けど、立ち向かった子供たちには、無言で褒めてくれた感じがしたのは、よく覚えています。
「ガキ大将」って、機会と場所とチャンスを与えると、本当に力を発揮することを、その先生から教わりました。
皆さんの周りに、よき「ガキ大将」がいませんか。
きっと、皆さんの力になることに間違いないでしょう。